病態に応じて血清Th1, Th2サイトカインレベルの変動を認めた好酸球性筋膜炎の1例

[概要]症例は25歳女性. 1999年7月右膝関節・足関節の腫脹・疼痛が出現し, 筋生検と典型的な皮膚所見より好酸球性筋膜炎と診断された. プレドニゾロン20mgより開始し漸減したが, 2.5mgの時点で症状再発を認めた. 経過中, 経時的に血清サイトカインレベルを測定した. 治療前に比して治療反応後では血清IL-4レベルの低下とIFN-γレベルの上昇を認めたが, 再燃時には治療前のレベルに戻っていた. 好酸球性筋膜炎の病態にサイトカインバランスが関与している可能性が示唆された. 「I. はじめに」好酸球性筋膜炎(EF)は末梢血好酸球増多を伴うび漫性筋膜炎で, 本邦での報告例は100例程度と比...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 25; no. 3; pp. 263 - 269
Main Authors 三角緑, 出口治子, 辻隆, 上田敦久, 大野滋, 萩原恵里, 青木昭子, 石ヶ坪良明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2002
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300

Cover

More Information
Summary:[概要]症例は25歳女性. 1999年7月右膝関節・足関節の腫脹・疼痛が出現し, 筋生検と典型的な皮膚所見より好酸球性筋膜炎と診断された. プレドニゾロン20mgより開始し漸減したが, 2.5mgの時点で症状再発を認めた. 経過中, 経時的に血清サイトカインレベルを測定した. 治療前に比して治療反応後では血清IL-4レベルの低下とIFN-γレベルの上昇を認めたが, 再燃時には治療前のレベルに戻っていた. 好酸球性筋膜炎の病態にサイトカインバランスが関与している可能性が示唆された. 「I. はじめに」好酸球性筋膜炎(EF)は末梢血好酸球増多を伴うび漫性筋膜炎で, 本邦での報告例は100例程度と比較的稀な疾患である1). 当疾患は末梢血好酸球増多, 高γ-グロブリン血症より免疫系の病態への関与が推定されるが, 症例数が少ないこともあり血清サイトカインについての検討は殆どされていない. 今回我々は治療前後で血清サイトカインを測定し病態との関連を検討したので, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0911-4300