当科における小児大腿骨骨幹部骨折の治療経験

「はじめに」小児大腿骨骨幹部骨折は速やかな骨癒合が得られ, 旺盛な自己矯正力を有し, また近隣関節に拘縮を起こしにくいという特徴があることから, その治療は原則的に保存療法が行われている. しかし, 日常診療において観血的治療を考えざるを得ない症例にしばしば遭遇するのも事実である. 我々は順行性髄内釘固定法(antegrade intramedullary nailing)を積極的に行っており, その治療経験をもとに本法の適応, 合併症, 手術のポイントについて検討し, 若干の文献的考察を加えて報告する. 対象, 方法 対象はH8~10年に当科で治療した8例であり, 性別は全例男性, 受傷時年...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 1; pp. 118 - 121
Main Authors 川谷洋右, 谷脇功一, 木屋博昭, 弓削孝雄, 金井一男, 田口学, 池尻洋史, 福田朋博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2000
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」小児大腿骨骨幹部骨折は速やかな骨癒合が得られ, 旺盛な自己矯正力を有し, また近隣関節に拘縮を起こしにくいという特徴があることから, その治療は原則的に保存療法が行われている. しかし, 日常診療において観血的治療を考えざるを得ない症例にしばしば遭遇するのも事実である. 我々は順行性髄内釘固定法(antegrade intramedullary nailing)を積極的に行っており, その治療経験をもとに本法の適応, 合併症, 手術のポイントについて検討し, 若干の文献的考察を加えて報告する. 対象, 方法 対象はH8~10年に当科で治療した8例であり, 性別は全例男性, 受傷時年齢は2歳5ケ月~15歳(平均8.6歳), 多発外傷合併例は2例であった. 骨折部位は転子下骨折1例, 上1/3骨折2例, 中1/3骨折4例, 下1/3骨折1例であった. 3例は牽引療法とギプス固定法により保存的に加療した. 5例に髄内釘法による骨接合術を施行した, その内訳はKuntscher釘 3例, Ender釘 1例, Kirschner鋼線 1例であった. 観血的治療群5例のうち1例は下腿骨骨折を合併したfloating knee損傷であり, 1例は開放骨折に他医で創外固定施行後に遷延治癒をきたしていたが, 残る3例は受傷時年齢10歳以下の孤発例であった. 経過観察期間は6ケ月~2年10ケ月(平均1.5年)であった.
ISSN:0037-1033