当科における鋼線締結法による膝蓋骨骨折の治療成績

「はじめに」当科では, 粉砕骨折を含む各種膝蓋骨骨折の症例に対し, キルシュナー鋼線や螺子を使用せず, 主に経皮的に, 軟鋼線のみによる鋼線締結法を施行してきた. 術式, 治療成績を報告する. 対象および方法 対象は, 1998年以降の膝蓋骨骨折手術症例39例のうち, 高度粉砕骨折にて整復困難でキルシュナー鋼線を併用した例, 縦骨折の螺子固定例, 同側肢にリハビリを遅延させる骨折の合併例, TKA後の骨折例を除外し, 抜釘まで, あるいは未抜釘の例で1年以上経過観察し得た28例. 年齢, 20~83歳, 平均58歳. 男性, 11例. 女性, 17例. 骨折型は横骨折, 17例. 3partの...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 1; pp. 86 - 88
Main Authors 小澤慶一, 萩原博嗣, 中家一寿, 芳田辰也, 久枝啓史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2000
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」当科では, 粉砕骨折を含む各種膝蓋骨骨折の症例に対し, キルシュナー鋼線や螺子を使用せず, 主に経皮的に, 軟鋼線のみによる鋼線締結法を施行してきた. 術式, 治療成績を報告する. 対象および方法 対象は, 1998年以降の膝蓋骨骨折手術症例39例のうち, 高度粉砕骨折にて整復困難でキルシュナー鋼線を併用した例, 縦骨折の螺子固定例, 同側肢にリハビリを遅延させる骨折の合併例, TKA後の骨折例を除外し, 抜釘まで, あるいは未抜釘の例で1年以上経過観察し得た28例. 年齢, 20~83歳, 平均58歳. 男性, 11例. 女性, 17例. 骨折型は横骨折, 17例. 3partのT型骨折, 6例. 粉砕骨折, 4例. 縦骨折, 1例. 基本的術式は, 膝蓋骨の4隅に小皮切を加え, 既製のミズホ医科器械, 中原氏鋼線誘導子(図1)の先端を鋭に削って通し易くしたものを使用し, 0.9mm軟鋼線にて, 深層を周辺締結法, 浅層を8の字締結法の2本で固定し, X線透視にて, 整復を確認している. 粉砕骨折例では直視下に整復を確認するため, 膝蓋骨上に横切開を加えた症例もある. 外固定はせず, 術翌日より, 自動, 他動の可動域改善訓練, 大腿四頭筋訓練を開始している. 他の術式と比べ, 本術式の利点は, 軟鋼線のみで固定するため, 鋼線の刺激症状が少なく, 早期リハビリテーションが可能な点である1)2)3)4)ので, 抜釘前の成績を, 渡辺の評価法4)(表1)にて優, 良, 可に評価した.
ISSN:0037-1033