聴覚の反応時間測定法に関する研究
「はじめに」 標準純音聴力検査や語音明瞭度検査では会話に支障をきたすほどの異常を示さないが, 日常会話において聞き返しが多く, ゆっくり話すことにより内容理解が良くなる聴覚障害者がいる. このような現象に根本的に関与していると思われる聴覚系の時間分解能について研究した. 聴覚系の時間分解能に関する研究は現在まで数多く行われてきたが, 聴覚認知系での「識別」や「弁別」といったより高次レベルでの時間分解能を扱った研究は比較的少ない. 従来の研究は主として, 反応時間1), 時間順序の弁別域・識別域2), 識別臨界速度3)などの測定法に関するものであった. しかし, そのいずれの測定法も臨床検査法と...
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| Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 93; no. 5; pp. 746 - 871 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本耳鼻咽喉科学会
20.05.1990
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| ISSN | 0030-6622 |
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| Summary: | 「はじめに」 標準純音聴力検査や語音明瞭度検査では会話に支障をきたすほどの異常を示さないが, 日常会話において聞き返しが多く, ゆっくり話すことにより内容理解が良くなる聴覚障害者がいる. このような現象に根本的に関与していると思われる聴覚系の時間分解能について研究した. 聴覚系の時間分解能に関する研究は現在まで数多く行われてきたが, 聴覚認知系での「識別」や「弁別」といったより高次レベルでの時間分解能を扱った研究は比較的少ない. 従来の研究は主として, 反応時間1), 時間順序の弁別域・識別域2), 識別臨界速度3)などの測定法に関するものであった. しかし, そのいずれの測定法も臨床検査法として使用するにはいまだ不十分である. 聴覚の反応時間とは, ある刺激音がある個人に受容されてから, 他覚的に反応として確認されるまでの所要時間である. 故に, 反応時間を知覚情報処理部と運動反応部分に分けて考えることが出来る. |
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| ISSN: | 0030-6622 |