一般的な使用法 : デスフルランによる麻酔導入と維持 (2) 低流量麻酔

[要旨] デスフルランが2011年に日本で認可され, 麻酔の導入および覚醒が早いことから使用が急速に拡大している. しかし, デスフルランは最小肺胞濃度が約6%と高いため, 通常の新鮮ガス流量 (fresh gas flow : FGF) 下で投与すると, デスフルランの消費量が増加し, 麻酔科医の気化器に薬液を充填する手間を増やし, 日本の医療財政への負担も大きい. そのため, 低流量麻酔下でのデスフルランの投与が有用となる. 低流量麻酔を用いることで, 吸入麻酔薬消費量が減少し, 環境汚染にも留意した麻酔が可能となる. ただ, 低流量麻酔には簡単ではあるが, 押さえるべきポイントがいくつか...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 375 - 376
Main Authors 小林賢輔, 加藤孝澄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.05.2016
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ISSN0285-4945

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Summary:[要旨] デスフルランが2011年に日本で認可され, 麻酔の導入および覚醒が早いことから使用が急速に拡大している. しかし, デスフルランは最小肺胞濃度が約6%と高いため, 通常の新鮮ガス流量 (fresh gas flow : FGF) 下で投与すると, デスフルランの消費量が増加し, 麻酔科医の気化器に薬液を充填する手間を増やし, 日本の医療財政への負担も大きい. そのため, 低流量麻酔下でのデスフルランの投与が有用となる. 低流量麻酔を用いることで, 吸入麻酔薬消費量が減少し, 環境汚染にも留意した麻酔が可能となる. ただ, 低流量麻酔には簡単ではあるが, 押さえるべきポイントがいくつかあるのでここではそれを解説する. 「I 低流量麻酔とは」低流量麻酔とは, 通常よりも少ない新鮮ガス流量 (fresh gas flow : FGF) を用いて行う全身麻酔のことである. どの程度のFGFをもって低流量麻酔とするかについて定説はないが, 分時換気量の半分以下や2L/min以下, 1L/min程度などの値があげられており, FGFが1L/minまでを低流量麻酔, それ以下を極少流量麻酔とする分類もある.
ISSN:0285-4945