成人の肺形成不全症 (adult aplasia of the lung) の1例

「要約」 「背景」 肺形成不全症は稀であるが, 小児で他の奇形を合併する報告が多い. 一方, 成人で合併奇形のない報告もある. 肺形成不全の健側気管支の分枝パターンに関する検討は少ない. 「症例」 37歳女性が全身麻酔下の緊急帝王切開を予定された. 小児期に肺の異常を指摘されたが自覚症状がないため精査は受けなかった. 胸部X線写真で縦隔の著明な左側偏位と右肺の左胸腔への膨張を認めた. 左肺は明瞭でなかった. 麻酔, 手術は無事終了し母子ともにトラブルなく退院した. 同意を得て母親の胸部造影CTと気管支鏡検査を施行した. 「結果」 左主気管支の遺残は憩室に類似していた. 右上葉気管支は2本あり頭...

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Published in気管支学 Vol. 38; no. 2; pp. 84 - 89
Main Authors 加々美智, 臼田亮介, 堀内一哉, 石井源, 植松秀護, 鈴木隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2016
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ISSN0287-2137

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Summary:「要約」 「背景」 肺形成不全症は稀であるが, 小児で他の奇形を合併する報告が多い. 一方, 成人で合併奇形のない報告もある. 肺形成不全の健側気管支の分枝パターンに関する検討は少ない. 「症例」 37歳女性が全身麻酔下の緊急帝王切開を予定された. 小児期に肺の異常を指摘されたが自覚症状がないため精査は受けなかった. 胸部X線写真で縦隔の著明な左側偏位と右肺の左胸腔への膨張を認めた. 左肺は明瞭でなかった. 麻酔, 手術は無事終了し母子ともにトラブルなく退院した. 同意を得て母親の胸部造影CTと気管支鏡検査を施行した. 「結果」 左主気管支の遺残は憩室に類似していた. 右上葉気管支は2本あり頭側のB1+3と尾側の転位気管支B2で構成されていた. 右S3, 中葉, S7の大半は縦隔の前方を通り左胸腔へ自然な形で展開していた. 無気肺はなかった. 「結論」 成人の左肺形成不全の本症例で, 右上葉支に転位気管支B2を認めた.
ISSN:0287-2137