全身麻酔術前検査で診断された機能性甲状腺結節による原発性甲状腺機能亢進症の一例

「緒言」甲状腺機能亢進症は原発性甲状腺機能亢進症と続発性甲状腺機能亢進症に分類される. 原発性甲状腺機能亢進症の原因疾患は甲状腺濾胞上皮細胞膜表面上の甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)受容体に対する自己抗体により発症する甲状腺臓器特異的自己免疫疾患の一つであるバセドウ病が大部分を占める. 一方, 甲状腺ホルモンをTSH非依存的, 自律的に産生する機能性甲状腺結節が原発性甲状腺機能亢進症の原因疾患を占める割合は0.15-0.3%と稀である. 甲状腺結節は病理組織学的には甲状腺濾胞上皮細胞の過形成であり, その頻度は甲状腺超音波検査を施行した場合,...

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Published in神奈川歯学 Vol. 54; no. 2; pp. 117 - 121
Main Authors 佐藤温洋, 酒井龍太郎, 今泉うの, 古出智子, 青木一孝, 池上匡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.2019
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」甲状腺機能亢進症は原発性甲状腺機能亢進症と続発性甲状腺機能亢進症に分類される. 原発性甲状腺機能亢進症の原因疾患は甲状腺濾胞上皮細胞膜表面上の甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)受容体に対する自己抗体により発症する甲状腺臓器特異的自己免疫疾患の一つであるバセドウ病が大部分を占める. 一方, 甲状腺ホルモンをTSH非依存的, 自律的に産生する機能性甲状腺結節が原発性甲状腺機能亢進症の原因疾患を占める割合は0.15-0.3%と稀である. 甲状腺結節は病理組織学的には甲状腺濾胞上皮細胞の過形成であり, その頻度は甲状腺超音波検査を施行した場合, 67-68%になると報告されている. 甲状腺機能亢進症がコントロール不良の状態で全身麻酔下による手術, 外傷, 抜歯などの侵襲が加わると甲状腺ホルモンの高値に対する生体の代償機構が破綻し多臓器不全に陥り, 死亡率が10%以上ある甲状腺クリーゼになることがある.
ISSN:0454-8302