金属キレートアフィニティを用いたリン酸化タンパク質のプロテオミクス

ヒトゲノム解読計画がほぼ終結し, 今後は遺伝子と疾患の関わりに迫る研究に軸足が移ってくるものと思われる. 感染症を除く疾患の多くは, 遺伝的な素因の上に生活環境の要因が重なって発症するものであるが, このうち単一の遺伝子変異が直接の原因となって発症する疾患がいわゆる遺伝病であり, 複数の遺伝子多型がリスクを規定しているものの, 実際の発症には生活習慣や環境要因が加わってはじめて発症する疾患が生活習慣病である. 典型的な遺伝病においては原因遺伝子と臨床症状が直接結びついているために, ゲノム情報から発症のメカニズムをおおよそ推定することが可能であるが, 複数の遺伝子が関係する生活習慣病においては...

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Published in生物物理化学 Vol. 47; no. 1/2; pp. 1 - 6
Main Author 戸田年総
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2003
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ISSN0031-9082

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Summary:ヒトゲノム解読計画がほぼ終結し, 今後は遺伝子と疾患の関わりに迫る研究に軸足が移ってくるものと思われる. 感染症を除く疾患の多くは, 遺伝的な素因の上に生活環境の要因が重なって発症するものであるが, このうち単一の遺伝子変異が直接の原因となって発症する疾患がいわゆる遺伝病であり, 複数の遺伝子多型がリスクを規定しているものの, 実際の発症には生活習慣や環境要因が加わってはじめて発症する疾患が生活習慣病である. 典型的な遺伝病においては原因遺伝子と臨床症状が直接結びついているために, ゲノム情報から発症のメカニズムをおおよそ推定することが可能であるが, 複数の遺伝子が関係する生活習慣病においては, 多数のタンパク質の機能的なバランスの崩れが複雑に絡みあっているので, このような疾患の病態を正確に把握し, 発症のメカニズムを明らかにするためには, 多数のタンパク質の変化を同時に解析し総合的に判断する必要がある.
ISSN:0031-9082