周産期の大腿骨遠位骨端線離開で生じた恒久性膝蓋骨脱臼
「はじめに」膝蓋大腿(以下PF)関節不適合の原因の一つとして, 膝関節伸展機構の内外側のアンバランスが指摘されている. 今回, このことを証明する典型的な症例を経験したので報告する. 症例 症例:3歳女児 主訴:膝折れ 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:在胎34週で骨盤位のため外回転術をうける. 在胎35週3日で頭位経膣分娩にて出生生下時体重2052g. 新生児仮死を認めレスピレーターを6日間装着した. 生後16日目右下肢の伸展障害のため当科紹介となる. 初診時右大腿骨遠位骨端線離開または顆上骨折を認めたが特別の治療は受けていない. 生後2ヶ月目には35度の外反膝と膝蓋骨の亜脱臼を認めたが...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 795 - 798 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1996
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 |
Cover
Summary: | 「はじめに」膝蓋大腿(以下PF)関節不適合の原因の一つとして, 膝関節伸展機構の内外側のアンバランスが指摘されている. 今回, このことを証明する典型的な症例を経験したので報告する. 症例 症例:3歳女児 主訴:膝折れ 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:在胎34週で骨盤位のため外回転術をうける. 在胎35週3日で頭位経膣分娩にて出生生下時体重2052g. 新生児仮死を認めレスピレーターを6日間装着した. 生後16日目右下肢の伸展障害のため当科紹介となる. 初診時右大腿骨遠位骨端線離開または顆上骨折を認めたが特別の治療は受けていない. 生後2ヶ月目には35度の外反膝と膝蓋骨の亜脱臼を認めたがこれらはいずれも矯正不能であった. しかし, 膝の可動性は良好であった. 1歳6ヶ月で歩行可能となったが右膝の膝折れ現象がみられた. 3歳2ヶ月の現在, 右膝蓋骨の恒久性脱臼を認める. 外反膝は10度と矯正されつつあり, 膝関節の可動域はほぼ正常である. 内旋歩行と時に膝折れ現象がみられる. また, 下肢長差は見られないが右大腿四頭筋に筋萎縮を認める. X線像での経過 初診時(生後16日目), 右大腿骨遠位骨端線離開が最も考えられたが顆上骨折も否定できなかった(図1). |
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ISSN: | 0037-1033 |