脳主幹動脈閉塞症の急性期血行再建術の適応に対するMRI拡散強調画像(Diffusion-Weighted Image)

脳主幹動脈閉塞による閉塞性脳血管障害の治療は血管内手術の発展や欧米におけるrtPA療法の認可などにより大きな転換期を迎えている. 治療成績の向上には, より的確な適応の選択が重要になるが, 近年その適応選択の一指標としてMRI拡散強調画像(Diffusion-Weighted Image:DWI)が注目されている. 虚血脳に対するDWIの有用性は1990年にMoseleyらによって報告されて以来7)研究が盛んになり, 1996年ごろより臨床応用が広く普及し始めた. conventional MRIに比べその違いは虚血巣の細胞性浮腫をとらえられることで1), より早期に病巣を高信号域として検出で...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 29; no. 1; pp. 40 - 46
Main Authors 稲垣徹, 斉藤孝次, 奥山徹, 平野亮, 入江伸介, 稲村茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 2001
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ISSN0914-5508

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Summary:脳主幹動脈閉塞による閉塞性脳血管障害の治療は血管内手術の発展や欧米におけるrtPA療法の認可などにより大きな転換期を迎えている. 治療成績の向上には, より的確な適応の選択が重要になるが, 近年その適応選択の一指標としてMRI拡散強調画像(Diffusion-Weighted Image:DWI)が注目されている. 虚血脳に対するDWIの有用性は1990年にMoseleyらによって報告されて以来7)研究が盛んになり, 1996年ごろより臨床応用が広く普及し始めた. conventional MRIに比べその違いは虚血巣の細胞性浮腫をとらえられることで1), より早期に病巣を高信号域として検出できることである4)9)10). またその高信号域には可逆的な"ischemic penumbra"の領域も含んでいる可能性が動物実験により示されている3)6). このため閉塞性脳血管障害に対する種々の急性期治療の前後におけるDWIの高信号域の変化は重要な意味がある. 今回われわれは急性期血行再建術を施行した症例のDWI所見について高信号域の可逆性, 臨床症状の変化や転帰との関係について検討したので報告する.
ISSN:0914-5508