スプリング組み込み式松葉杖のスプリングの設定条件についての検討

「はじめに」臨床において松葉杖, クラッチなどの歩行補助具の使用頻度は高い5)~7). 我々は歩行補助具を病態により応じたものにするために, 側胸部支持式クラッチ, 側腹部支持式クラッチ, 坐骨支持式クラッチなどを考案し臨床応用してきた2)~4). これまでの松葉杖では摩擦係数の低い路面での使用時やスロープ昇降での使用時などで滑りやすいことが問題点であった. またその他に, 荷重時に松葉杖握り部における手掌への圧迫衝撃も問題点になることが多かった. そこで, これらの問題点を改善する目的で, 伸展棒にコイル状のスプリングを組み込んだ松葉杖(以下, スプリング式松葉杖と略す)を作製し, 検討を行...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 975 - 979
Main Authors 西田圭介, 渡辺英夫, 浅見豊子, 伊藤由美, 上園英嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」臨床において松葉杖, クラッチなどの歩行補助具の使用頻度は高い5)~7). 我々は歩行補助具を病態により応じたものにするために, 側胸部支持式クラッチ, 側腹部支持式クラッチ, 坐骨支持式クラッチなどを考案し臨床応用してきた2)~4). これまでの松葉杖では摩擦係数の低い路面での使用時やスロープ昇降での使用時などで滑りやすいことが問題点であった. またその他に, 荷重時に松葉杖握り部における手掌への圧迫衝撃も問題点になることが多かった. そこで, これらの問題点を改善する目的で, 伸展棒にコイル状のスプリングを組み込んだ松葉杖(以下, スプリング式松葉杖と略す)を作製し, 検討を行ってきた1)8)(図1a, b). しかし, スプリング式松葉杖を実際に使用する場合にはスプリング強度を症例ごとに, 選択することが重要であるとの考えに及び, 今回その設定条件について検討を加えたので報告する. スプリング式松葉杖の構造 市販の松葉杖を利用し, 伸展棒にアルミ合金製パイプを使用した. この伸展棒の中にはコイルスプリングとプラスチック製ホルダーが入っており, 杖使用時の荷重によりスプリングが圧縮されホルダーのスリット部分と伸展棒のネジの間で, 上下方向へ弾力的な動きが生じる構造である. 今回の実験に用いたスプリング式松葉杖ではスプリングの最大短縮長は30mmであった.
ISSN:0037-1033