5-アミノレブリン酸 (5-ALA) を利用した光線力学的胸腔鏡下蛍光navigation手術の試み

「要約」-「背景.」5-アミノレブリン酸(5-ALA)の蛍光ナビゲーション手術の新たな可能性を検討した. 「症例.」60歳代, 男性. 左S1+2, 左S5に2cm大の結節を認め, 大動脈下リンパ節が3cm大に腫大していた. Positron emission tomography(PET)CTでは3病変ともにフルオロデオキシグルコース(FDG)の集積を認めた. 治療方針決定のため3病変を胸腔鏡下に生検(肺部分切除2カ所, リンパ節針生検)した. 手術3時間前に5-ALAを20mg/kg内服し, 3ports鏡視下手術を実施した. 「結果.」胸腔内観察ではS1+2病変には強い赤色蛍光を認めた....

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 4; pp. 417 - 421
Main Authors 坂尾幸則, 黒田浩章, 谷田部恭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2019
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ISSN0287-2137

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Summary:「要約」-「背景.」5-アミノレブリン酸(5-ALA)の蛍光ナビゲーション手術の新たな可能性を検討した. 「症例.」60歳代, 男性. 左S1+2, 左S5に2cm大の結節を認め, 大動脈下リンパ節が3cm大に腫大していた. Positron emission tomography(PET)CTでは3病変ともにフルオロデオキシグルコース(FDG)の集積を認めた. 治療方針決定のため3病変を胸腔鏡下に生検(肺部分切除2カ所, リンパ節針生検)した. 手術3時間前に5-ALAを20mg/kg内服し, 3ports鏡視下手術を実施した. 「結果.」胸腔内観察ではS1+2病変には強い赤色蛍光を認めた. 大動脈下リンパ節とS5病変では明らかな赤色蛍光を認めなかった. それぞれの病変の病理はS1+2は大細胞癌, S5は肉芽腫,リンパ節は上皮性悪性腫瘍の転移を認めた. 本例では肺病変に関しては, 非腫瘍性腫瘤と腫瘍との鑑別に有用である可能性が示唆された. 一方リンパ節に関しては, bulkyな転移であったにも関わらず蛍光はほとんど観察されなかった. 原因としては, viableな腫瘍細胞が観察面に乏しかった可能性がある. 「結論.」5-ALA利用の胸腔鏡下での蛍光観察は病変の腫瘍性変化と炎症性変化を鑑別できる可能性が示唆された.
ISSN:0287-2137