脳外傷の病理と臨床応用
外傷発生の機序は元来力学的現象であり, 病理学的所見はその生体反応の終着点を観察していることになる. 神経系外傷の形式についてHooper5)が示した図を改変すると, Table1のごとく言えるであろう. すなわちまず衝撃の形式がどのようであるかによって, 結果が異なってくる. たとえば衝撃を加えるものの形が鋭利か鈍か平面か, 加えられた衝撃の強さがどの程度であるか, 打撃部がどこでどの方向からか, というような要素が第1, 次に軟部組織を主体とした損傷か, 脊椎頭蓋骨損傷を伴っているか, 神経系に損傷を生じているか, という解剖的要素が第2, そしてその結果として種々の臨床症候があらわれる....
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          | Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 19; no. 9; pp. 853 - 862 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本脳神経外科学会
    
        1979
     | 
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| ISSN | 0470-8105 | 
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| Summary: | 外傷発生の機序は元来力学的現象であり, 病理学的所見はその生体反応の終着点を観察していることになる. 神経系外傷の形式についてHooper5)が示した図を改変すると, Table1のごとく言えるであろう. すなわちまず衝撃の形式がどのようであるかによって, 結果が異なってくる. たとえば衝撃を加えるものの形が鋭利か鈍か平面か, 加えられた衝撃の強さがどの程度であるか, 打撃部がどこでどの方向からか, というような要素が第1, 次に軟部組織を主体とした損傷か, 脊椎頭蓋骨損傷を伴っているか, 神経系に損傷を生じているか, という解剖的要素が第2, そしてその結果として種々の臨床症候があらわれる. この際第2の要素は第1の要素によって一応決定されるが, 実際にはこの解剖的要素が人間一人一人個体差のあることを無視できない. この個体差によって, ほぼ同形式の衝撃を受けたとしても, その病理学的損傷の程度と範囲とがある程度異なってくる. 外傷による中枢神経系損傷の病理が多彩であり, その臨床もまた多彩であるのは, 一つにはこのような個体差が関係していることにもよる. | 
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| ISSN: | 0470-8105 |