随意性肩関節前方脱臼に対する観血的治療経験

「はじめに」肩関節不安定症は外傷性と非外傷性とに大別することができる. 非外傷性肩関節不安定症は更に随意性と非随意性に分けられる. また, 非随意性から随意性への移行型も存在する. 今回, 随意性肩関節前方脱臼症例に対し, 拡大した関節包の鏡視下縫縮と, 随意性脱臼の主動作筋となっていた大胸筋の切離による観血的治療が有用であった症例を経験したので報告する. 「症例」18歳の女性, 主訴は, 左肩の脱臼感, 疼痛であった. 現病歴は, 平成7年頃より左肩の脱臼感を自覚しており, 翌年から随意的に脱臼できるようになった. 平成10年2月頃から疼痛が出現するようになった. 平成10年8月, 精査加療...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 1; pp. 229 - 231
Main Authors 安岡寛理, 井手淳二, 前田智, 山鹿眞紀夫, 高木克公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2001
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」肩関節不安定症は外傷性と非外傷性とに大別することができる. 非外傷性肩関節不安定症は更に随意性と非随意性に分けられる. また, 非随意性から随意性への移行型も存在する. 今回, 随意性肩関節前方脱臼症例に対し, 拡大した関節包の鏡視下縫縮と, 随意性脱臼の主動作筋となっていた大胸筋の切離による観血的治療が有用であった症例を経験したので報告する. 「症例」18歳の女性, 主訴は, 左肩の脱臼感, 疼痛であった. 現病歴は, 平成7年頃より左肩の脱臼感を自覚しており, 翌年から随意的に脱臼できるようになった. 平成10年2月頃から疼痛が出現するようになった. 平成10年8月, 精査加療目的にて当科紹介入院となった. 入院時の理学所見は, 左肩関節可動域は, 屈曲180°, 外転180°, 外旋70°, 内旋第4胸椎と可動域制限は認めなかった. 前下方への不安定性を認め, 大胸筋を作用させることによって随意的に前下方へ脱臼させることが可能であった. JOA scoreは80点であった.
ISSN:0037-1033