手指末節骨内に生じた類上皮嚢腫の1例

「はじめに」類上皮嚢腫は, 手指の軟部組織にはよく見られるが, 指骨内に発生する例は稀である. 今回我々は, 左中指末節骨内に生じた類上皮嚢腫の一例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 14歳, 女性. 主訴:左中指末節部の腫脹. 現病歴:平成9年9月頃, 左中指末節部を打撲し, その後より同部の腫脹, 疼痛が出現した. 症状は寛解, 再発を繰り返しながら徐々に悪化したため, 平成10年3月16日, 近医受診. X線上, 左中指末節骨内の透亮像を指摘され, 同年3月20日, 精査加療目的にて当科を受診した. 既往歴, 家族歴には特記すべき事項はなかった. 初診時所見:左中...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 4; pp. 1147 - 1151
Main Authors 坂田勝美, 川越正一, 神園豊, 黒木龍二, 河野立, 岡田麻里, 田島直也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1999
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」類上皮嚢腫は, 手指の軟部組織にはよく見られるが, 指骨内に発生する例は稀である. 今回我々は, 左中指末節骨内に生じた類上皮嚢腫の一例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 14歳, 女性. 主訴:左中指末節部の腫脹. 現病歴:平成9年9月頃, 左中指末節部を打撲し, その後より同部の腫脹, 疼痛が出現した. 症状は寛解, 再発を繰り返しながら徐々に悪化したため, 平成10年3月16日, 近医受診. X線上, 左中指末節骨内の透亮像を指摘され, 同年3月20日, 精査加療目的にて当科を受診した. 既往歴, 家族歴には特記すべき事項はなかった. 初診時所見:左中指末節部の発赤, 腫脹および軽度の圧痛を認めた. 同指の可動域制限および知覚の異常は認められなかった. 血液検査に異常は認められなかった. 単純X線所見:左中指末節骨近位部尺側に偏在性に境界明瞭な骨透亮像を認め, 尺側の骨皮質は菲薄化し, 一部欠損していた. 内部に石灰化は認められなかった(図1).
ISSN:0037-1033