長期透析患者の上位頸椎病変の分析
「はじめに」腎透析患者に見られる骨関節病変は, 腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy)としてよく知られているが, 近年, 透析の長期化に伴い新たな骨関節病変の存在が言われている. 1984年Kuntz2)らが透析患者における破壊性脊椎関節症(Destructive Spondyloarthropathy;以下DSAと略す)を報告して以来長期透析に起因する脊椎病変が注目されており, Rousselin5)らはMRI上長期透析患者の歯突起周囲に軟部組織の腫脹像を見いだしPseudotumorと命名した. しかしその詳細についてはいまだ不明な点が多い. 今回我々は, 長期透析患者...
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| Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 720 - 724 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
西日本整形・災害外科学会
1996
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0037-1033 |
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| Summary: | 「はじめに」腎透析患者に見られる骨関節病変は, 腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy)としてよく知られているが, 近年, 透析の長期化に伴い新たな骨関節病変の存在が言われている. 1984年Kuntz2)らが透析患者における破壊性脊椎関節症(Destructive Spondyloarthropathy;以下DSAと略す)を報告して以来長期透析に起因する脊椎病変が注目されており, Rousselin5)らはMRI上長期透析患者の歯突起周囲に軟部組織の腫脹像を見いだしPseudotumorと命名した. しかしその詳細についてはいまだ不明な点が多い. 今回我々は, 長期透析患者の上位頸椎病変について単純X線, MRIにて検討したので報告する. 対象および方法 対象は男性15例, 女性5例の20症例で, 年齢は35歳から78歳(平均53歳), 透析期間は4年から24年(平均9年)であった. 全例に開口位を含めた頸椎7方向単純X線撮影を行ない, 環軸椎垂直脱臼, 前方亜脱臼の有無, 環軸関節, 歯突起の状態を観察した. 前方亜脱臼の診断基準は環椎歯突起間距離(atlanto-dental interval)を求め前屈時3mm以上を病的とした. 垂直脱臼の診断基準としてRanawat(以下, R)法およびRedlund-Johnell(以下, R-J)法を用い, 森園4)らの報告に従い, 正常のR値は男性14mm, 女性13mm以上, 正常R-J値は男性34mm, 女性28mm以上とした. |
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| ISSN: | 0037-1033 |