手指骨に生じた骨膜性軟骨腫の2例
「はじめに」骨膜性軟骨腫は比較的まれな良性の軟骨性腫瘍である. 最近われわれは手指骨に生じた骨膜性軟骨腫を2例経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1:6歳男児. 主訴:左示指腫瘤. 現病歴:平成7年4月初旬, 左示指の腫瘤に家族が気付き近医受診, 単純X線像にて同部に異常陰影を指摘され平成7年4月11日当科紹介受診した. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 入院時所見:左示指基節部橈側に弾性硬の腫瘤を触知. 自発痛, 圧痛は認めなかった. また局所の発赤熱感も認められなかった. 血液検査所見:特記事項なし. 単純X線所見:左示指基節骨の橈側に内部に石灰化陰影を伴う骨皮質...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 2; pp. 499 - 502 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1998
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」骨膜性軟骨腫は比較的まれな良性の軟骨性腫瘍である. 最近われわれは手指骨に生じた骨膜性軟骨腫を2例経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1:6歳男児. 主訴:左示指腫瘤. 現病歴:平成7年4月初旬, 左示指の腫瘤に家族が気付き近医受診, 単純X線像にて同部に異常陰影を指摘され平成7年4月11日当科紹介受診した. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 入院時所見:左示指基節部橈側に弾性硬の腫瘤を触知. 自発痛, 圧痛は認めなかった. また局所の発赤熱感も認められなかった. 血液検査所見:特記事項なし. 単純X線所見:左示指基節骨の橈側に内部に石灰化陰影を伴う骨皮質の硬化性陥凹を認めた(図1). 単純CT所見:左示指基節骨の橈側に, 径10mm大, 内部がやや不均一で辺縁部に石灰化を伴う腫瘍像を認めた. 基節骨は橈側皮質に非薄化を伴う陥凹像を呈していた(図2). 入院後被膜化され基節骨を圧迫する腫瘍を骨膜を含めて摘出し基底部を掻爬した. 病理組織検査にて多型性の少ない軟骨細胞の増殖を認め骨膜性軟骨腫と診断した(図3(A)). 術後の経過は良好で転移, 再発などを認めず術後8カ月目の単純X線像にて陥凹部にremodelingの傾向を認めた(図3(B)). |
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ISSN: | 0037-1033 |