観血的治療により著明なADLが得られた骨化性筋炎の2例

「はじめに」外傷や炎症, 麻痺の後に軟部組織の異所性骨化症を併発し, 関節拘縮をきたし日常生活動作(ADL)障害に至る症例をしばしば経験する. 今回我々は, 肘関節周囲に発症した骨化性筋炎に対し観血的治療を施行し, 著明なADLの改善が得られた2症例を経験したので報告する. 症例 症例1:19歳, 女性. 主訴:両肘関節拘縮. 現病歴:平成5年12月17日, 交通事故にて受傷し救急搬入された. 入院時意識レベルはGlasgow Coma scale III‐200で, 除脳硬直状態であった. 単純X線写真にて頭蓋骨, および四肢骨の骨傷を認めず, 単純CT像では明らかな頭蓋内占拠性病変はなかっ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 1; pp. 232 - 237
Main Authors 中村耕作, 西孝之, 萩野浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」外傷や炎症, 麻痺の後に軟部組織の異所性骨化症を併発し, 関節拘縮をきたし日常生活動作(ADL)障害に至る症例をしばしば経験する. 今回我々は, 肘関節周囲に発症した骨化性筋炎に対し観血的治療を施行し, 著明なADLの改善が得られた2症例を経験したので報告する. 症例 症例1:19歳, 女性. 主訴:両肘関節拘縮. 現病歴:平成5年12月17日, 交通事故にて受傷し救急搬入された. 入院時意識レベルはGlasgow Coma scale III‐200で, 除脳硬直状態であった. 単純X線写真にて頭蓋骨, および四肢骨の骨傷を認めず, 単純CT像では明らかな頭蓋内占拠性病変はなかった. び漫性軸索損傷の診断のもとに脳神経外科にて保存的に加療が行われた. 入院時より四肢の筋緊張亢進が継続するため, 関節拘縮予防を目的にベッドサイドでの他動的関節可動域訓練が施行されていた. 平成6年1月12日, 両肘関節の腫張熱感が出現したが, 単純X線写真にて特に異常を認めず, 冷電法にて腫張, 熱感は軽快した. その後意識レベルも回復しリハビリテーションを継続したが, 両肘関節拘縮が増強してきた.
ISSN:0037-1033