後内側進入法を用いて治療した肘部管症候群を伴う変形性肘関節症の3例

「はじめに」変形性肘関節症は上肢を酷使する青壮年のスポーツ選手および重労働者に好発する. 主症状は肘関節の疼痛と可動域制限であり, しばしば肘部管症候群を合併する. 今回, 肘部管症候群を合併した変形性肘関節症に対し後内側進入法1)2)3)5)を用いて手術を行った3例について報告する. 症例 【症例1】32歳男性 ボディビルダー 主訴:右肘関節痛および可動域制限のためトレーニングの効果が左右不均等となり, 外見上筋肉が非対称(右<左)であること, ロッキングのためボディビルのポーズがとれないこと, および右尺骨神経領域のしびれ感であった. 現病歴:小学5年生の時野球肘を指摘されたが放置し...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 1; pp. 197 - 200
Main Authors 金城政樹, 金谷文則, 安里英樹, 普天間朝上, 砂川秀之, 茨木邦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2000
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」変形性肘関節症は上肢を酷使する青壮年のスポーツ選手および重労働者に好発する. 主症状は肘関節の疼痛と可動域制限であり, しばしば肘部管症候群を合併する. 今回, 肘部管症候群を合併した変形性肘関節症に対し後内側進入法1)2)3)5)を用いて手術を行った3例について報告する. 症例 【症例1】32歳男性 ボディビルダー 主訴:右肘関節痛および可動域制限のためトレーニングの効果が左右不均等となり, 外見上筋肉が非対称(右<左)であること, ロッキングのためボディビルのポーズがとれないこと, および右尺骨神経領域のしびれ感であった. 現病歴:小学5年生の時野球肘を指摘されたが放置し, 以後肘関節痛, 可動域制限, ロッキングが出現した. 大学でボディビルを始め, 平成9年8月の全国大会で10位に入賞したが満足のいく成績ではなかった. 大会後に尺骨神経領域のしびれ感が出現し, 肘関節痛, 可動域制限もあり満足いくトレーニングができなくなったため平成9年11月当院を受診した. 入院時現症:肘関節の可動域は伸展-23°/屈曲100°であった. 外見上, 上腕二頭筋, 上腕三頭筋, 大胸筋が非対称(右<左)で, 上腕周囲径は右37.2cm, 左37.6cmであった. 尺骨神経領域のしびれ感, 小指球筋および第1背側骨間筋の萎縮, 鷲手変形を認め, Froment signは陽性であった.
ISSN:0037-1033