新規に同定された抗核抗体“抗DFS70抗体”の臨床的意義

「I. はじめに」 1970年代後半に間接蛍光抗体法(indirect immunofluorescence:IIF)による抗核抗体(antinuclear antibody:ANA)検査に培養細胞が導入されて以来, 数々の疾患特異マーカー抗体が同定されてきた. ANAは膠原病のスクリーニングに重要な検査であるばかりでなく, 病型分類や治療効果の判定, 予後の推定に役立つ場合もある. しかし, 膠原病以外でもANA陽性患者に遭遇する機会はしばしばあり, 臓器特異性自己免疫疾患, ウイルス性疾患や癌患者, さらには健常人でさえ陽性になることがある1~4). それらはかならずしもcut-off値の...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 23; no. 5; pp. 425 - 434
Main Author 室慶直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2000
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ISSN0911-4300

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Summary:「I. はじめに」 1970年代後半に間接蛍光抗体法(indirect immunofluorescence:IIF)による抗核抗体(antinuclear antibody:ANA)検査に培養細胞が導入されて以来, 数々の疾患特異マーカー抗体が同定されてきた. ANAは膠原病のスクリーニングに重要な検査であるばかりでなく, 病型分類や治療効果の判定, 予後の推定に役立つ場合もある. しかし, 膠原病以外でもANA陽性患者に遭遇する機会はしばしばあり, 臓器特異性自己免疫疾患, ウイルス性疾患や癌患者, さらには健常人でさえ陽性になることがある1~4). それらはかならずしもcut-off値の設定に集約される問題ではない3, 4)ことより, 実際の臨床の場で“ANA陽性”の解釈に混乱を招く一因にもなっている. 本総説では, 我々が最近同定し, Journal of Allergy and Clinical ImmunologyのThe Editor's Choice5)にも取り上げられた核内自己抗原DFS70とそれに対する自己抗体6)について, その臨床的意義および病態における意義の重要性について, 現時点で判明している知見と今後の課題について紹介する.
ISSN:0911-4300