吹きぬけ骨折(眼窩壁単独骨折)の画像診断と治療経過

「I はじめに」 吹きぬけ骨折の歴史的経過は幾つかの誤認があったが, これは十分訂正されることなく, 今日にまで至ったかの印象が強い. その主なものは発生機序と治療方針とに関するもので, 1957年にSmithとConverse1)により報告された眼窩内圧上昇説であり, 当時は吹きぬけ骨折の発生機序と考えられてきた. しかし, 眼窩内圧上昇説では説明できないその後の症例の蓄積により, 藤野2)~5)による骨座屈説がより矛盾のない発生機序として有力視されている. このことは前回の報告6)ですでに述べた. 今回は自験例34例につき経過観察を行い, その臨床経過と眼科的検査並びに画像診断との関連及び...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 94; no. 8; pp. 1123 - 1223
Main Authors 広田佳治, 竹内直信, 石尾健一郎, 高砂江佐央, 北原伸郎, 飯沼壽孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.08.1991
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ISSN0030-6622

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Summary:「I はじめに」 吹きぬけ骨折の歴史的経過は幾つかの誤認があったが, これは十分訂正されることなく, 今日にまで至ったかの印象が強い. その主なものは発生機序と治療方針とに関するもので, 1957年にSmithとConverse1)により報告された眼窩内圧上昇説であり, 当時は吹きぬけ骨折の発生機序と考えられてきた. しかし, 眼窩内圧上昇説では説明できないその後の症例の蓄積により, 藤野2)~5)による骨座屈説がより矛盾のない発生機序として有力視されている. このことは前回の報告6)ですでに述べた. 今回は自験例34例につき経過観察を行い, その臨床経過と眼科的検査並びに画像診断との関連及び治療成績につき若干の知見を得たので報告する. 「II 研究対象および方法」 1. 研究対象 昭和63年以降に当科及び眼科を受診し, 高分解能CTにて骨折を確認できた34症例で, 33症例にHess赤緑試験を32症例にシノプトを行い, 32症例に複視消失までの経過を検討した.
ISSN:0030-6622