強皮症における線維化の機序

「I. はじめに」汎発性強皮症(systemic sclerosis:SSc)は皮膚および内臓諸臓器における硬化性変化を主徴とする疾患で1), その病因は未だ明らかとなっていない. 現在SScにおける線維化の病態形成は, 血管内皮細胞傷害, リンパ球や単球の活性化に始まり, 線維芽細胞における細胞外マトリックス調節異常に至ると考えられている2,3). 現在までの研究によって, 皮膚を含めた各臓器における線維芽細胞の活性化がSScにおける線維化の過程で関与すると考えられ4,5), SSc患者由来線維芽細胞ではI型, III型, VI型, VII型コラーゲン, フィブロネクチン, グリコサミノグリ...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 26; no. 5; pp. 274 - 282
Main Author 尹浩信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2003
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ISSN0911-4300

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Summary:「I. はじめに」汎発性強皮症(systemic sclerosis:SSc)は皮膚および内臓諸臓器における硬化性変化を主徴とする疾患で1), その病因は未だ明らかとなっていない. 現在SScにおける線維化の病態形成は, 血管内皮細胞傷害, リンパ球や単球の活性化に始まり, 線維芽細胞における細胞外マトリックス調節異常に至ると考えられている2,3). 現在までの研究によって, 皮膚を含めた各臓器における線維芽細胞の活性化がSScにおける線維化の過程で関与すると考えられ4,5), SSc患者由来線維芽細胞ではI型, III型, VI型, VII型コラーゲン, フィブロネクチン, グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスの過剰産生5~10), 細胞外マトリックス分解阻害物質であるtissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP)やintercellular adhesion molecule(ICAM)-1などの接着因子の過剰発現11,12)が報告されている.
ISSN:0911-4300