補聴器装用と聴力の変化についての検討
「1. はじめに」補聴器による聴力の悪化は, 感音難聴者が補聴器を装用する場合, つねに念頭におかなければならない問題である. 補聴器を装用することによって難聴が進行したかどうかを知るには, 前後の聴力を比較することが必要であるが, しかし実際には感音難聴には進行性のものも多く, また伝音難聴も加わることもあり, さらに小児ではオージオグラムが不確実な例も少なくなく, 経過観察中に難聴の悪化がみられたとしても, その原因が補聴器によるものかどうかについての判定は難しい. 補聴器装用による聴力の変化については, 多くの文献があり, あるものは悪化が見られるとし, またあるものは見られないとしてい...
Saved in:
Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 93; no. 9; pp. 1335 - 1487 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
20.09.1990
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0030-6622 |
Cover
Summary: | 「1. はじめに」補聴器による聴力の悪化は, 感音難聴者が補聴器を装用する場合, つねに念頭におかなければならない問題である. 補聴器を装用することによって難聴が進行したかどうかを知るには, 前後の聴力を比較することが必要であるが, しかし実際には感音難聴には進行性のものも多く, また伝音難聴も加わることもあり, さらに小児ではオージオグラムが不確実な例も少なくなく, 経過観察中に難聴の悪化がみられたとしても, その原因が補聴器によるものかどうかについての判定は難しい. 補聴器装用による聴力の変化については, 多くの文献があり, あるものは悪化が見られるとし, またあるものは見られないとしているが, いずれにしても, 補聴器を装用している感音難聴者の難聴が進行した場合, その原因が補聴器によると判定することは難しく, この問題にはまだ決着がついていない. 今回我々は, 補聴器を一側のみに装用し, 聴力検査を長期的に施行し得た両側感音難聴児について, 主に補聴器装用耳と非装用耳の聴力の変化に関して検討を加え, 補聴器装用と難聴の進行について検討し若干の知見を得たので報告する. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 |