前庭神経炎症例における健側耳の温度眼振反応の検討

「はじめに」前庭神経炎の診断には末梢前庭機能の高度低下を証明する必要があり1), 通常温度刺激検査が指標とされている. ただし一側前庭機能急性低下時には健常側にも前庭代償機構の影響が働くとされており2~4), 特に急性期には健常側も正常時とは異なる温度眼振反応を呈する可能性があると考えられる. 左右の反応を相対的に評価することが主体である温度刺激検査において健常側の反応に経時的変化が生じるとすれば診断上大きな問題である. しかし前庭神経炎症例における健側耳温度刺激検査の推移について論じた報告は見当たらない. 今回本研究の発端となった代表的症例を呈示するとともに, 他の前庭神経炎症例についても温...

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Published inめまい平衡医学 Vol. 65; no. 6; pp. 460 - 465
Main Authors 松崎真樹, 岩崎真一, 牛尾宗貴, 室伏利久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本めまい平衡医学会 01.12.2006
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ISSN0385-5716

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Summary:「はじめに」前庭神経炎の診断には末梢前庭機能の高度低下を証明する必要があり1), 通常温度刺激検査が指標とされている. ただし一側前庭機能急性低下時には健常側にも前庭代償機構の影響が働くとされており2~4), 特に急性期には健常側も正常時とは異なる温度眼振反応を呈する可能性があると考えられる. 左右の反応を相対的に評価することが主体である温度刺激検査において健常側の反応に経時的変化が生じるとすれば診断上大きな問題である. しかし前庭神経炎症例における健側耳温度刺激検査の推移について論じた報告は見当たらない. 今回本研究の発端となった代表的症例を呈示するとともに, 他の前庭神経炎症例についても温度刺激反応の経時的変化について検討を行った. 「対象と方法」対象 東京逓信病院耳鼻咽喉科および東京大学附属病院耳鼻咽喉科めまい外来において複数回の温度刺激検査を施行し得た前庭神経炎6例(全員男性, 平均年齢50.8歳)を対象とした.
ISSN:0385-5716