喉頭微細手術による瘢痕声帯に対する外科的治療法の検討-声帯硬化性病変の原因と思われる瘢痕性病変の除去

「I. はじめに」一般的に言えることであるが手術的治療の最も得意とするところは, あってはならない余計なものを取り除くことである. また足りなくなった部分を補充することもある程度可能である. ところが組織などの物理的変化を矯正するのは容易ではない. われわれの取り扱う喉頭微細手術にも言えて, 特に声帯の硬化性病変に対してはほぼ無力である. 声帯の硬化を招く原因はいろいろあるが, 創傷治癒機転の障害で起こる瘢痕性病変もその一つである. 瘢痕声帯は主に強度の炎症, 声帯に対する手術的治癒後におこり, 声帯の粘膜が硬化することで粘膜波動が減少・消失するために音声障害を引き起こす. 治療法として, 音...

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Published in喉頭 Vol. 21; no. 2; pp. 117 - 122
Main Authors 宮本真, 楠山敏行, 森有子, 中川秀樹, 田村悦代, 新美成二, 福田宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 2009
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ISSN0915-6127

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Summary:「I. はじめに」一般的に言えることであるが手術的治療の最も得意とするところは, あってはならない余計なものを取り除くことである. また足りなくなった部分を補充することもある程度可能である. ところが組織などの物理的変化を矯正するのは容易ではない. われわれの取り扱う喉頭微細手術にも言えて, 特に声帯の硬化性病変に対してはほぼ無力である. 声帯の硬化を招く原因はいろいろあるが, 創傷治癒機転の障害で起こる瘢痕性病変もその一つである. 瘢痕声帯は主に強度の炎症, 声帯に対する手術的治癒後におこり, 声帯の粘膜が硬化することで粘膜波動が減少・消失するために音声障害を引き起こす. 治療法として, 音声治療, ステロイド注射, 声帯注入術, 筋膜移植やアテロコラーゲン移植などの組織工学的手技を用いた方法などが考案されてきた1). しかし瘢痕性病変が異物として存在するならば〈摘出〉という概念が導入されても良いのではないかと考える.
ISSN:0915-6127