めまい症例における心理状態の検討-POMSを用いて

「緒言」めまいの発症やその治癒過程には心理的要因の関与が強いことが知られている. McKennaら1)によれば, 神経耳科外来のめまい患者のうち, 64%が心理学的援助を必要としたという. 荻野2)は, めまい患者の42.5%にうつ状態が認められたと報告している. 従って, 個々の症例における心理状態や気分状態を把握することは, 診療をすすめていくうえで重要である. 今回, われわれは, 対象者の気分, 感情の状態を知るための簡便な質問紙であるPOMS(profile of mood states)3)の日本語版を用い, めまいを訴えて来院した症例の心理状態について検討したので報告する. 「対...

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Published inめまい平衡医学 Vol. 65; no. 1; pp. 30 - 34
Main Authors 室伏利久, 中原はるか, 松崎真樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本めまい平衡医学会 01.02.2006
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ISSN0385-5716

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Summary:「緒言」めまいの発症やその治癒過程には心理的要因の関与が強いことが知られている. McKennaら1)によれば, 神経耳科外来のめまい患者のうち, 64%が心理学的援助を必要としたという. 荻野2)は, めまい患者の42.5%にうつ状態が認められたと報告している. 従って, 個々の症例における心理状態や気分状態を把握することは, 診療をすすめていくうえで重要である. 今回, われわれは, 対象者の気分, 感情の状態を知るための簡便な質問紙であるPOMS(profile of mood states)3)の日本語版を用い, めまいを訴えて来院した症例の心理状態について検討したので報告する. 「対象と方法」対象 対象は, めまいを主訴に東京逓信病院耳鼻咽喉科を受診した症例187名(男84名, 女103名, 18~79歳)である. 診断の内訳は, 良性発作性頭位めまい症(BPPV)35例, メニエール病22例, 前庭神経炎6例, その他の末梢前庭性めまい19例, 片頭痛性めまい7例, 椎骨脳底動脈循環不全症7例, 起立性低血圧・低血圧23例, 心因性めまい39例, その他3例, 確定診断にいたらなかった症例26例であった.
ISSN:0385-5716