城郭石垣の伝統技術の定量的表現法 (試案) に関する研究

貴重な文化遺産である城郭石垣を修復・復元するに当たり、どのような伝統技術が、どのような効果を期待して使用され遺されているかを解明しなければならない。本研究では、次のような事項についてとりまとめた。 (1) 文献調査結果などを整理して、伝統技術の分析、分類を行った。そして、修復対象の現存石垣の調査結果と対応させ、どのような技術がどの部分に使用されているかを明らかにし、修復復元に活かす手順を示した。(2) 該当石垣に変位計・沈下計などを設置し、一定期間動態観測を行った後、石垣天端肩部に土のうなどによる載荷重を加えたときの石垣面の挙動を計測する。そして変位データ等の経時変化や載荷重との関連性を解析す...

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Bibliographic Details
Published in土木史研究 Vol. 22; pp. 93 - 102
Main Authors 小林, 善勝, 田中, 邦煕
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 土木学会 15.05.2002
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ISSN0916-7293
1884-8141
DOI10.2208/journalhs1990.22.93

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Summary:貴重な文化遺産である城郭石垣を修復・復元するに当たり、どのような伝統技術が、どのような効果を期待して使用され遺されているかを解明しなければならない。本研究では、次のような事項についてとりまとめた。 (1) 文献調査結果などを整理して、伝統技術の分析、分類を行った。そして、修復対象の現存石垣の調査結果と対応させ、どのような技術がどの部分に使用されているかを明らかにし、修復復元に活かす手順を示した。(2) 該当石垣に変位計・沈下計などを設置し、一定期間動態観測を行った後、石垣天端肩部に土のうなどによる載荷重を加えたときの石垣面の挙動を計測する。そして変位データ等の経時変化や載荷重との関連性を解析することにより、石垣断面の危険性判定や崩壊メカニズムの解析研究を行う必要性を示した。(3) 石垣のような文化財の評価を行うに当たり、「感応検査法」を導入する手法を例示し、この手法の利点、問題点などを示した。(4) 以上を総合した、「石垣修復複元に対する基本理念」を取りまとめた。
ISSN:0916-7293
1884-8141
DOI:10.2208/journalhs1990.22.93