急速に増大しイレウス症状を呈したMesenteric inflammatory veno-occlusive disease(MIVOD)の1自験例
Mesenteric inflammatory veno-occlusive disease(以下MIVOD)は腸間膜の静脈のみに起こる炎症により惹起される虚血性障害の一つとされ,非常に稀な疾患である.症例は既往にギランバレー症候群がある49歳の男性.腹部膨満を主訴に来院し,腹部CT検査で回結腸動脈周囲のリンパ節腫大と,回盲部粘膜下腫瘍による腸閉塞所見を認めた.下部消化管内視鏡検査で回盲部に粘膜下腫瘍を認めたが,生検ではGroup 1であった.術前確定診断に至らなかったが腸閉塞症状が増悪したため,右半結腸切除術(D3)を施行した.回結腸動脈に沿うリンパ節腫大と,バウヒン弁直上に5×4cmの粘膜...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 2; pp. 95 - 100 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.66.95 |
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Summary: | Mesenteric inflammatory veno-occlusive disease(以下MIVOD)は腸間膜の静脈のみに起こる炎症により惹起される虚血性障害の一つとされ,非常に稀な疾患である.症例は既往にギランバレー症候群がある49歳の男性.腹部膨満を主訴に来院し,腹部CT検査で回結腸動脈周囲のリンパ節腫大と,回盲部粘膜下腫瘍による腸閉塞所見を認めた.下部消化管内視鏡検査で回盲部に粘膜下腫瘍を認めたが,生検ではGroup 1であった.術前確定診断に至らなかったが腸閉塞症状が増悪したため,右半結腸切除術(D3)を施行した.回結腸動脈に沿うリンパ節腫大と,バウヒン弁直上に5×4cmの粘膜下腫瘤を認めた.組織学的に悪性所見はなく,静脈に限局して血栓や内腔狭窄,炎症性リンパ球集族を認め,MIVODと診断した.本疾患の本邦報告はなく,稀な疾患と考えられた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.66.95 |