古墳に関する工学的視点からの考察 (風雨侵食について)

古墳とは3~7世紀に築かれた「古代の墓」であり、土木技術の原点が数多く認められる。本研究はこれらに関して工学的視点から検討を加えるものであり、本報告では風雨による侵食について取りまとめた。 古墳は土を高く盛って築かれたが、千数百年を経ていることを考えたとき、この間の風雨侵食により特にその高さが大きく変化したと考えられる。このことは現存する古墳の後円部等の直径Dと高さHとの関係を整理した結果、H (m)≒0.13D+1.0±4.0 (m) と表わされるように、同じDでもHは±4.0mの大きなバラツキがあることからも明らかである。一方この風雨侵食量を推定するために行った風雨侵食実験結果から、盛土斜...

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Published in土木史研究 Vol. 22; pp. 83 - 92
Main Authors 木村, 真也, 田中, 邦煕
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 土木学会 15.05.2002
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ISSN0916-7293
1884-8141
DOI10.2208/journalhs1990.22.83

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Summary:古墳とは3~7世紀に築かれた「古代の墓」であり、土木技術の原点が数多く認められる。本研究はこれらに関して工学的視点から検討を加えるものであり、本報告では風雨による侵食について取りまとめた。 古墳は土を高く盛って築かれたが、千数百年を経ていることを考えたとき、この間の風雨侵食により特にその高さが大きく変化したと考えられる。このことは現存する古墳の後円部等の直径Dと高さHとの関係を整理した結果、H (m)≒0.13D+1.0±4.0 (m) と表わされるように、同じDでもHは±4.0mの大きなバラツキがあることからも明らかである。一方この風雨侵食量を推定するために行った風雨侵食実験結果から、盛土斜面から流出する土砂量を求め、この結果を整理して、古代の古墳高さを推定する手法を提案した。この手法は全国各地で数多く行なわれている古墳の修復復元に当り、その高さ等を設定するときなどの参考とされることが期待される。
ISSN:0916-7293
1884-8141
DOI:10.2208/journalhs1990.22.83