甲状腺低分化・未分化癌細胞における新規分子標的薬lapatinibと抗癌化学療法剤の併用効果

【目的】治療に難渋する甲状腺低分化・未分化癌細胞における新規分子標的薬lapatinib(Lap)の抗腫瘍活性ならびに抗癌化学療法剤との併用効果を検討した. 【材料と方法】当教室で樹立された3種類の甲状腺癌細胞株(低分化乳頭癌細胞株KTC-1, 未分化癌細胞株KTC-2, KTC-3)を用いた. Lap及び抗癌化学療法剤(5-fluorouracil [FU], doxorubicin [Dox], paclitaxel [Pac], SN-38, cisplatin [Cis], etoposide [Eto], Cis+Eto)を単剤または併用投与し, 細胞増殖, 細胞周期, アポトーシス...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in川崎医学会誌 Vol. 34; no. 4; pp. 265 - 277
Main Author 惣田麻衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2008
Online AccessGet full text
ISSN0386-5924

Cover

More Information
Summary:【目的】治療に難渋する甲状腺低分化・未分化癌細胞における新規分子標的薬lapatinib(Lap)の抗腫瘍活性ならびに抗癌化学療法剤との併用効果を検討した. 【材料と方法】当教室で樹立された3種類の甲状腺癌細胞株(低分化乳頭癌細胞株KTC-1, 未分化癌細胞株KTC-2, KTC-3)を用いた. Lap及び抗癌化学療法剤(5-fluorouracil [FU], doxorubicin [Dox], paclitaxel [Pac], SN-38, cisplatin [Cis], etoposide [Eto], Cis+Eto)を単剤または併用投与し, 細胞増殖, 細胞周期, アポトーシス誘導, アポトーシス関連因子発現に与える影響を調べた. 【結果】Lapは, いずれの細胞株においても用量依存性に増殖抑制(50%増殖阻止濃度:KTC-1細胞株5.0μM, KTC-2細胞株3.4μM, KTC-3細胞株3.5μM)とアポトーシス誘導を起こした. Lapは, KTC-1細胞株ではSN-38, Cis, Eto, Cis+Etoと, KTC-2細胞株ではCis+Etoと, KTC-3細胞株ではDox, Pacと相加的な増殖抑制効果を示した. KTC-1細胞株においてCis+EtoとLapの併用は, 相加的にsurvivinの蛋白発現低下とアポトーシス誘導を起こした. 【結論】新規分子標的薬Lapは, 甲状腺低分化・未分化癌細胞に対して, アポトーシスを誘導し抗腫瘍活性を示した. Lapは抗癌化学療法剤の種類によっては, 相加的な抗腫瘍効果が認められた. 甲状腺低分化・未分化癌の治療にLapが有用なことが示唆された.
ISSN:0386-5924