ハムスター胆汁・膵液・十二指腸液胆道内逆流モデルにおける胆道上皮の組織学変化と発癌
膵胆管合流異常症は, 胆道系癌が発生することで前癌状態として認識されている. その発癌機序の一つとして, 膵液の胆管への逆流が関与していると考えられている. そこで我々は, ハムスターに外科的に胆汁膵液十二指腸液が確実に胆道内に逆流する処置を加え, いわゆる膵胆管合流異常症モデル(cholecystoduodenostomy with dessection of the extrahepatic bile duct on the distal end of the common duct以下CDDBモデル)を作成し, 胆汁, 膵液を含む十二指腸液の逆流が, 胆道上皮へ及ぼす影響を検討した. 術...
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Published in | 川崎医学会誌 Vol. 28; no. 4; pp. 279 - 286 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
2002
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ISSN | 0386-5924 |
Cover
Summary: | 膵胆管合流異常症は, 胆道系癌が発生することで前癌状態として認識されている. その発癌機序の一つとして, 膵液の胆管への逆流が関与していると考えられている. そこで我々は, ハムスターに外科的に胆汁膵液十二指腸液が確実に胆道内に逆流する処置を加え, いわゆる膵胆管合流異常症モデル(cholecystoduodenostomy with dessection of the extrahepatic bile duct on the distal end of the common duct以下CDDBモデル)を作成し, 胆汁, 膵液を含む十二指腸液の逆流が, 胆道上皮へ及ぼす影響を検討した. 術後, 全てのハムスターに基本飼料を与え, 水道水を自由摂取させた. そして発癌剤を投与することなく6ヶ月および12ヶ月以上観察した. 病理組織学的には, 6ヶ月観察の6例全例に胆嚢上皮の過形成を認め, 1例では高度の腺管の異形成が認められた. そして胆嚢粘膜の増殖細胞の検出をPCNA LIを用い測定した結果, CDDBモデルは, 手術非施行例に比べ高値であった. 肝外胆管上皮は炎症細胞の浸潤はあるものの過形成は認められなかった. 肝内胆管, 膵管上皮には特別な病変を認めなかった. |
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ISSN: | 0386-5924 |