重症急性膵炎(SAP)に対するbiapenem(BIPM), nafamostat mesilate(NM)動注療法の試み

要旨:近年, 重症急性膵炎(SAP)に対する蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬持続動注療法(以下, 動注療法)の有効性を示す報告が散見される. 広域抗菌スペクトルを有するimipenem/cilastatin(IPM/CS)が, 動注療法の抗菌薬として繁用されている. しかしnafamostat mesilate(NM)との配合変化が問題となる. 一方, biapenem(BIPM)は他のカルバペネム系抗菌薬に比べ, 物理化学的安定性に優れている. 我々は, BIPMとNMによる動注療法を行なったSAP6例を経験した. 生存率は83.3%であった. 6例中1例のみが膵膿瘍を合併した. また1例は膵感染...

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Published in膵臓 Vol. 23; no. 5; pp. 578 - 586
Main Authors 浜田幸宏, 今泉弘, 渡邊雅明, 菊池秀彦, 渡邊真彰, 西巻博, 木田光広, 砂川慶介, 相馬一亥, 西元寺克禮, 松原肇, 矢後和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2008
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ISSN0913-0071

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Summary:要旨:近年, 重症急性膵炎(SAP)に対する蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬持続動注療法(以下, 動注療法)の有効性を示す報告が散見される. 広域抗菌スペクトルを有するimipenem/cilastatin(IPM/CS)が, 動注療法の抗菌薬として繁用されている. しかしnafamostat mesilate(NM)との配合変化が問題となる. 一方, biapenem(BIPM)は他のカルバペネム系抗菌薬に比べ, 物理化学的安定性に優れている. 我々は, BIPMとNMによる動注療法を行なったSAP6例を経験した. 生存率は83.3%であった. 6例中1例のみが膵膿瘍を合併した. また1例は膵感染と関係のないMRSA腸炎による敗血症のため死亡した. SAPに対するBIPMによる動注療法はカテーテル管理の簡便化が図れ, IPM/CSと同等の治療成績が期待される.
ISSN:0913-0071