下垂体部に発生した異所性唾液腺の1症例

トルコ鞍近傍疾患は多々あるが, 今回我々は臨床的に低身長をきたし, 病理組織学的に下垂体部の非腫瘍性嚢胞を伴う異所性唾液腺と診断されたまれな症例を経験したので報告する. 症例 <患者>11才, 男児 主訴:低身長 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:満期自然分娩, 3, 500gにて出生した. 1983年9才時に, 低身長を指摘され, 下垂体性小人症の診断にてヒト成長ホルモンの投与が開始された. 1985年11才時, CTスキャンにてトルコ鞍内から鞍上部にかけてhigh density massが認められ, geminomaが疑われたため2, 000radの照射が行われたが...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 28; no. 9; pp. 930 - 933
Main Authors 加藤功, 会田敏光, 阿部弘, 宮町敬吉, 飛騨一利, 種田雅彦, 緒方昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1988
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ISSN0470-8105

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Summary:トルコ鞍近傍疾患は多々あるが, 今回我々は臨床的に低身長をきたし, 病理組織学的に下垂体部の非腫瘍性嚢胞を伴う異所性唾液腺と診断されたまれな症例を経験したので報告する. 症例 <患者>11才, 男児 主訴:低身長 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:満期自然分娩, 3, 500gにて出生した. 1983年9才時に, 低身長を指摘され, 下垂体性小人症の診断にてヒト成長ホルモンの投与が開始された. 1985年11才時, CTスキャンにてトルコ鞍内から鞍上部にかけてhigh density massが認められ, geminomaが疑われたため2, 000radの照射が行われたが変化なく, 1986年4月25日当科へ紹介され入院した. 入院時所見:身長129.5cm, 体重31kgで, ともに平均値より2~3SDの低値を示していた. 神経学的には視野を含めて異常所見を認めなかった. 一般検査所見:血液検査, 生化学検査, 尿検査, 心電図に異常所見なく, 下垂体機能検査ではGH分泌機能において基礎値が0.76ng/ml, insulin, arginine負荷試験は低反応を呈していた.
ISSN:0470-8105