小脳海綿状血管腫の2例
「要旨」:症例は, 27歳(症例1)および39歳(症例2)の男性で, ともに突然のめまい, 悪心・嘔吐で発症した. 頭部CTにて小脳出血を認め, 頭部MRIの所見と併せ, 海綿状血管腫を疑った. 2症例とも症状が速やかに消失したため, 保存的に経過観察したが, 症例1は約2カ月後に, 症例2は8日後に再出血を来した. 摘出術を施行し, ともに神経症状を残すことなく社会復帰した. 病理所見にて海綿状血管腫と診断した. 出血性小脳海綿状血管腫の再出血率はいまだ不明であるが, 天幕下海綿状血管腫のうち, 脳幹や脳神経に局在するものと比べると, 摘出術による後遺症を引き起こす危険性は小さく, 摘出術が...
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Published in | 脳卒中 Vol. 32; no. 2; pp. 197 - 202 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳卒中学会
2010
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ISSN | 0912-0726 |
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Summary: | 「要旨」:症例は, 27歳(症例1)および39歳(症例2)の男性で, ともに突然のめまい, 悪心・嘔吐で発症した. 頭部CTにて小脳出血を認め, 頭部MRIの所見と併せ, 海綿状血管腫を疑った. 2症例とも症状が速やかに消失したため, 保存的に経過観察したが, 症例1は約2カ月後に, 症例2は8日後に再出血を来した. 摘出術を施行し, ともに神経症状を残すことなく社会復帰した. 病理所見にて海綿状血管腫と診断した. 出血性小脳海綿状血管腫の再出血率はいまだ不明であるが, 天幕下海綿状血管腫のうち, 脳幹や脳神経に局在するものと比べると, 摘出術による後遺症を引き起こす危険性は小さく, 摘出術が治療として推奨される. 「はじめに」海綿状血管腫は, 中枢神経系血管奇形の8から15%を占めるとされる. その多くは天幕上に存在するが, 天幕下では脳幹部に最も多く, 小脳に局在することは比較的まれである1)~5). 今回我々は, 出血にて発症した後, 経過観察中に再出血を来し, 摘出術を施行した小脳海綿状血管腫の2例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0912-0726 |