胸椎OPLL前方除圧固定術後に生じた低髄圧脳症の1例

「はじめに」後縦靭帯骨化症(以下OPLL)に対する前方除圧術の合併症の1つに髄液漏があり, 特に胸椎部では胸腔内陰圧のため髄液漏が遷延化しやすい2). 術後髄液漏の症状としては, 一般に頭痛, 悪心, 嘔吐などが主であり, 意識障害をきたすことは極めて稀である. 今回私たちは, 術後髄液漏による低髄圧脳症のため深昏睡をきたした1例を経験したので報告する. 「症例」54歳, 女性. 主訴:両下肢のしびれ 現病歴:平成11年2月頃より足趾のしびれが出現し, 次第に増悪. 8月には体幹, 両下肢のしびれ, さらに歩行障害も加わり当科を紹介された. 入院時現症:第7胸髄レベル以下の知覚鈍麻, 下肢腱反...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 3; pp. 731 - 735
Main Authors 米嵩理, 屋良哲也, 宮里剛成, 新垣勝男, 當眞嗣一, 野原博和, 金谷文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2001
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」後縦靭帯骨化症(以下OPLL)に対する前方除圧術の合併症の1つに髄液漏があり, 特に胸椎部では胸腔内陰圧のため髄液漏が遷延化しやすい2). 術後髄液漏の症状としては, 一般に頭痛, 悪心, 嘔吐などが主であり, 意識障害をきたすことは極めて稀である. 今回私たちは, 術後髄液漏による低髄圧脳症のため深昏睡をきたした1例を経験したので報告する. 「症例」54歳, 女性. 主訴:両下肢のしびれ 現病歴:平成11年2月頃より足趾のしびれが出現し, 次第に増悪. 8月には体幹, 両下肢のしびれ, さらに歩行障害も加わり当科を紹介された. 入院時現症:第7胸髄レベル以下の知覚鈍麻, 下肢腱反射の亢進を認めた. 左下肢筋力はMMT 4と軽度低下し, 平地歩行は杖無しで可能であったが, 階段昇降は手すりを使用してかろうじて可能な状態であった. 日整会頚髄症判定基準(以下JOAスコア)では上肢の項目を除く11点満点中の7点であった. 画像所見:平成11年9月の断層像では第4胸椎から第6胸椎までの連続型のOPLLを認め, MRIで同レベルにおいて脊髄の著明な圧迫がみられた. CT上, OPLLは第5胸椎レベルで最大で脊柱管内占拠率は81%と高度であった(図1).
ISSN:0037-1033