肝細胞癌に対する開腹下マイクロウェーブ凝固壊死療法(open MCT)の治療成績

肝細胞癌に対する治療法としては, 肝切除術を初めとして, マイクロウェーブ凝固壊死療法(MCT), ラジオ波焼灼療法(RFA), エタノール局注療法, 肝動脈化学塞栓療法, 肝動注癌化学療法など, 治療選択のline upが揃ってきた感があるが, 肝予備能不良な肝細胞癌症例に対する治療法として, どのmodalityをfirst entryとして選択するかに関しては, いまだに躊躇する場合も多い. 経皮的RFA(PRFA)が普及した現状において, 同様な高周波熱焼灼療法であるMCTの果たすべき役割は制限されてきたが, 開腹下に実施するopen MCTは, 多発症例や腫瘍径の大きな症例に対しても...

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Published inJournal of Microwave Surgery Vol. 20; pp. 57 - 59
Main Authors 水間正道, 鈴木正徳, 海野倫明, 片寄友, 力山敏樹, 竹内丙午, 森川孝則, 及川昌也, 松野正紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published メディカルレビュー社 2002
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ISSN0917-7728

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Summary:肝細胞癌に対する治療法としては, 肝切除術を初めとして, マイクロウェーブ凝固壊死療法(MCT), ラジオ波焼灼療法(RFA), エタノール局注療法, 肝動脈化学塞栓療法, 肝動注癌化学療法など, 治療選択のline upが揃ってきた感があるが, 肝予備能不良な肝細胞癌症例に対する治療法として, どのmodalityをfirst entryとして選択するかに関しては, いまだに躊躇する場合も多い. 経皮的RFA(PRFA)が普及した現状において, 同様な高周波熱焼灼療法であるMCTの果たすべき役割は制限されてきたが, 開腹下に実施するopen MCTは, 多発症例や腫瘍径の大きな症例に対しても一度の手術操作で低侵襲性に対処できるため, その有用性はすこぶる大きいと考えられる. 今回我々は, 当教室における肝細胞癌に対するopen MCTの治療成績について検討した. Open MCTの特徴から, 我々は肝細胞癌症例に対し, (1)両葉多発や大血管浸潤例のように切除を考慮すれば過大侵襲となることが予想される場合, (2)肝予備能不良が基盤にあり, 肝表面に位置する大きな腫瘍で, PRFA, 経皮的MCT(PMCT)などでは腫瘍が崩落し, 癌性腹膜炎を惹起するなどで対処しにくい症例, (3)重篤な他臓器疾患を有している症例, (4)開腹手術を要する他臓器疾患と肝悪性腫瘍の重複例, などの条件を満たす症例をopen MCTのよい適応とし, 積極的に施行している(表1).
ISSN:0917-7728