頻回の腫瘍内出血をきたした聴神経鞘腫の1例

聴神経鞘腫が頭蓋内出血を起こすことは少なく18), 出血発作で発症することはきわめてまれである4, 16, 19). 今回我々は, 頻回の腫瘍内出血により特異な発症および経過をとった聴神経鞘腫の1例を経験したので報告する. また, 本例ではMRIが診断上非常に有効であったので, 併せて若干の考察を加える. 症例 〈患者〉56才, 男性 主訴:突然の左聴力低下, 歩行時のふらつき 家族歴・既往歴:特記すべきことなし現病歴:1985年10月, 突然左側の聴力低下と耳鳴が出現したため, 近医を受診したところ, 突発性難聴と診断された. その後, 耳鳴は約1ヵ月間持続し, 軽快消失した. 1986年7...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 29; no. 4; pp. 328 - 332
Main Authors 倉田彰, 斎藤武志, 赤塚誠哉, 管信一, 高木宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1989
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ISSN0470-8105

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Summary:聴神経鞘腫が頭蓋内出血を起こすことは少なく18), 出血発作で発症することはきわめてまれである4, 16, 19). 今回我々は, 頻回の腫瘍内出血により特異な発症および経過をとった聴神経鞘腫の1例を経験したので報告する. また, 本例ではMRIが診断上非常に有効であったので, 併せて若干の考察を加える. 症例 〈患者〉56才, 男性 主訴:突然の左聴力低下, 歩行時のふらつき 家族歴・既往歴:特記すべきことなし現病歴:1985年10月, 突然左側の聴力低下と耳鳴が出現したため, 近医を受診したところ, 突発性難聴と診断された. その後, 耳鳴は約1ヵ月間持続し, 軽快消失した. 1986年7月, 歩行時に左方向へのふらつきを自覚した. さらに, 同年9月16日, 突然激しい後頭部痛が出現した. その後, この頭痛は徐々に軽快したが, 完全には消失しなかった. 9月20日, 再度激しい後頭部痛が出現, 同時に左側の顔面知覚鈍麻, 舌の左半側味覚低下に気付き, 10月20日, 当科入院となった.
ISSN:0470-8105