脊椎固定術後に発症したMRSA感染症の1例

「はじめに」脊椎インストゥルメンテーション後に発症したMRSA感染症の治療にはしばしば難渋する. 骨, 関節インストゥルメンテーション後の感染症に対する治療は, インストゥルメントの抜去が望ましいとするのが一般的である. しかし, 脊椎においてはインストゥルメントの抜去により, 脊椎の高度不安定性, あるいは変形が生じることが危惧され, さらにインストゥルメンテーションに代わる有効な外固定法もない. 我々は脊椎MRSA感染症に対し, インストゥルメントを抜去せずに掻爬と持続洗浄を行い, 血中濃度モニタリング下にVancomycin(VCM)静注を行うことで治療せしめたので報告する. 「症例」6...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 1; pp. 29 - 33
Main Authors 黒島聡, 松元悟, 佐久本嗣夫, 六角高祥, 屋良哲也, 野原博和, 金谷文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2001
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」脊椎インストゥルメンテーション後に発症したMRSA感染症の治療にはしばしば難渋する. 骨, 関節インストゥルメンテーション後の感染症に対する治療は, インストゥルメントの抜去が望ましいとするのが一般的である. しかし, 脊椎においてはインストゥルメントの抜去により, 脊椎の高度不安定性, あるいは変形が生じることが危惧され, さらにインストゥルメンテーションに代わる有効な外固定法もない. 我々は脊椎MRSA感染症に対し, インストゥルメントを抜去せずに掻爬と持続洗浄を行い, 血中濃度モニタリング下にVancomycin(VCM)静注を行うことで治療せしめたので報告する. 「症例」69歳, 男性. 主訴:背部~右側胸部痛既往歴:糖尿病現病歴:平成10年1月21日より上気道炎症状出現1月31日より発熱と背部~右側胸部痛出現したため近医受診し, 肺炎の診断にて入院, 抗生剤の投与を受けたが症状改善は認められなかった. 3月7日血培にて黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出され, 3月10日には両下肢脱力, 排尿障害出現し, 画像上化膿性脊椎炎が疑われたため当院紹介され入院となった.
ISSN:0037-1033