膵頭十二指腸切除術と膵管空腸吻合

過去13年間で40例の膵頭十二指腸切除術が施行され, 手術後入院中死亡率は17.5%で黄疸例29例の死亡率は20.7%であった. 死亡率は黄疸の強弱, 一期的手術, 二期的手術には無関係であった. 当院独自のVertical mattress sutureによる膵管空腸吻合術 (本法) が15例に行われ, 他の吻合法が25例に行われた.膵空腸吻合縫合不全は膵管径の小さいほど高率となり, 本法で1例, 他では8例に起こっており, 本法が優れていた. 長期生存例での検討で下痢の発生が本法ではなかったが, 他の吻合法による12例中3例に起っている. 本法は縫合不全の低率さに加えて, その特徴から長期...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 13; no. 12; pp. 1379 - 1384
Main Authors 枡本, 博文, 倉本, 信二, 前谷, 俊三, 酒井, 知昭, 田中, 英夫, 西川, 秀文, 相原, 貞夫, 中村, 義徳, 松末, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1980
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.13.1379

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Summary:過去13年間で40例の膵頭十二指腸切除術が施行され, 手術後入院中死亡率は17.5%で黄疸例29例の死亡率は20.7%であった. 死亡率は黄疸の強弱, 一期的手術, 二期的手術には無関係であった. 当院独自のVertical mattress sutureによる膵管空腸吻合術 (本法) が15例に行われ, 他の吻合法が25例に行われた.膵空腸吻合縫合不全は膵管径の小さいほど高率となり, 本法で1例, 他では8例に起こっており, 本法が優れていた. 長期生存例での検討で下痢の発生が本法ではなかったが, 他の吻合法による12例中3例に起っている. 本法は縫合不全の低率さに加えて, その特徴から長期にわたる膵管の開存が得られる可能性が多い.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.13.1379