重症肺結核再治療例に対するEnviornycinの治療効果

既往の化療によつて菌陰性化に失敗した多剤耐性の再治療肺結核患者62例を対象として, それまで使用中の抗結核薬にEVMを加えて6ヵ月間治療した. EVMは初めの3ヵ月は毎日19, その後の3ヵ月は週2回筋肉内注射し, 6ヵ月間経過を観察しえた50例について次のごとき結果を得た. 1) 胸部X線像の改善は基本病変で2%, 空洞で6. 5%に過ぎなかつた. 2) 喀痰中結核菌の培養陰性率は6ヵ月目38%. 3カ月以上連続培養陰性化率は20%であった. 3) EVM100μ9/ml耐性菌出現頻度は開始前は8%, 治療開始後3ヵ月目30%, 6ヵ月目は36%であった. 4) 副作用は22, 6%の例でみ...

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Published in結核 Vol. 54; no. 5; pp. 303 - 308
Main Authors 阿部, 政治, 山本, 健一, 立野, 誠吾, 清水, 辰典, 榑松, 三郎, 田中, 瑞穂, 小原, 裕光, 桑島, 核, 植田, 真三, 高田, 信夫, 今, 裕, 長谷川, 重雄, 高木, 浩, 横山, 洋子, 佐藤, 俊二, 高山, 和保, 柿木, ヒデ, 酒井, 良隆, 鈴木, 亜紀弘, 有馬, 純, 平賀, 洋明, 上田, 直紀, 相川, 啓子, 三塚, 直広, 浜野, 悦郎, 久世, 彰彦, 近藤, 角五郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.05.1979
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.54.303

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Summary:既往の化療によつて菌陰性化に失敗した多剤耐性の再治療肺結核患者62例を対象として, それまで使用中の抗結核薬にEVMを加えて6ヵ月間治療した. EVMは初めの3ヵ月は毎日19, その後の3ヵ月は週2回筋肉内注射し, 6ヵ月間経過を観察しえた50例について次のごとき結果を得た. 1) 胸部X線像の改善は基本病変で2%, 空洞で6. 5%に過ぎなかつた. 2) 喀痰中結核菌の培養陰性率は6ヵ月目38%. 3カ月以上連続培養陰性化率は20%であった. 3) EVM100μ9/ml耐性菌出現頻度は開始前は8%, 治療開始後3ヵ月目30%, 6ヵ月目は36%であった. 4) 副作用は22, 6%の例でみられ, 副作用による中止例は11.3%であった. 副作用の種類としては耳鳴り, トランスアミナーゼ値の一過性上昇など軽微なもので, 聴力低下による中止例は1例のみであった. 以上の結果から, EVMは副作用が比較的少なく, 特に聴力障害が少ないことから連日使用が可能であって, 再治療耐性肺結核の治療に有用な薬剤と考えられる.
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.54.303