FDG-PET/CTの集積で診断され術中の局所診断に苦慮した非機能性膵神経内分泌腫瘍 (PNET) の1切除例 - 病変の術中検出限界, ピットフォールについて

要旨 : 症例は74歳男性. 左甲状腺乳頭部癌の術前FDG-PET/CT検査にて膵鉤部にFDG集積を伴う腫瘍を指摘され当科紹介となった. CT検査にて7mm大の早期濃染する腫瘤を認め, 膵神経内分泌腫瘍 (pancreatic neuroendocrine tumor : PNET) と診断した. 甲状腺摘出後に切除生検目的として膵部分切除術を施行するも永久標本で腫瘍を認めず, 術後2か月目のCT検査にて腫瘍の残存を認めたため, 4か月後に再手術を行った. その際3度の部分切除を施行したが術中に腫瘍を指摘できず, 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理検査所見にて7×6mm大の黄白色調...

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Published in膵臓 Vol. 34; no. 1; pp. 22 - 29
Main Authors 竹村裕介, 北郷実, 板野理, 篠田昌宏, 八木洋, 阿部雄太, 大島剛, 堀周太郎, 藤田優裕, 益田悠貴, 久保田直人, 辻川華子, 川井田みほ, 北川雄光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2019
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ISSN0913-0071

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Summary:要旨 : 症例は74歳男性. 左甲状腺乳頭部癌の術前FDG-PET/CT検査にて膵鉤部にFDG集積を伴う腫瘍を指摘され当科紹介となった. CT検査にて7mm大の早期濃染する腫瘤を認め, 膵神経内分泌腫瘍 (pancreatic neuroendocrine tumor : PNET) と診断した. 甲状腺摘出後に切除生検目的として膵部分切除術を施行するも永久標本で腫瘍を認めず, 術後2か月目のCT検査にて腫瘍の残存を認めたため, 4か月後に再手術を行った. その際3度の部分切除を施行したが術中に腫瘍を指摘できず, 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理検査所見にて7×6mm大の黄白色調の結節性病変を認め, 免疫染色にてシナプトフィジン陽性, クロモグラニンA陽性, CD56陽性, Ki-67<1.5%であり非機能性のPNET (WHO分類Grade1) と診断した. 今回, 術中所見 (超音波検査, 肉眼所見, 迅速病理検査) で腫瘍同定に難渋したPNETを経験したので文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0913-0071