多中心性細網組織球症による母指CM関節破壊に対して関節形成術 (Thompson法) が有効であった1例

【はじめに】多中心性細網組織球症(Multicentric Reticulohistiocytosis : MRH)とは組織球や多核巨細胞の増殖による破壊性関節炎や皮疹をきたす全身疾患であり, 高頻度に手指DIP関節に骨破壊を来たす. 今回, MRHによる母指CM関節病変を経験したので報告する. 【症例】62歳女性. 持続する左母指CM関節痛のため紹介となり, 左母指CM関節は背側に亜脱臼し, CTで関節面の虫食い様骨破壊を認めた. また, 両母指IP関節, 両手指DIP関節にも骨破壊が認められ, 画像所見からMRHが疑われた. 母指CM関節病変に対しては関節形成術(Thompson法), 症...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 3; pp. 430 - 433
Main Authors 春田真一, 辻本律, 田中奈津美, 松林昌平, 尾崎誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2021
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ISSN0037-1033

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Summary:【はじめに】多中心性細網組織球症(Multicentric Reticulohistiocytosis : MRH)とは組織球や多核巨細胞の増殖による破壊性関節炎や皮疹をきたす全身疾患であり, 高頻度に手指DIP関節に骨破壊を来たす. 今回, MRHによる母指CM関節病変を経験したので報告する. 【症例】62歳女性. 持続する左母指CM関節痛のため紹介となり, 左母指CM関節は背側に亜脱臼し, CTで関節面の虫食い様骨破壊を認めた. また, 両母指IP関節, 両手指DIP関節にも骨破壊が認められ, 画像所見からMRHが疑われた. 母指CM関節病変に対しては関節形成術(Thompson法), 症状のある手指DIP関節に対して関節固定術を施行し, 除痛を得ることができた. 病理診断は母指CM関節, 手指DIP関節ともにMRHであった. 術後2年で母指IP関節の関節破壊が進行し関節固定術を追加したが, 母指対立運動は良好に保たれた. 【結果】MRH症例における母指CM関節病変に対しては, 将来的なIP関節破壊の可能性を考え, 関節固定術ではなく関節形成術を選択すべきである.
ISSN:0037-1033