頭蓋骨膜洞の組織学的分類と治療上の諸問題

Sinus pericraniiは, 1760年, Pottにより記載13)されて以来, 欧米では数多くの報告をみる1, 3-8, 13, 18, 23). 英語圏では同義語が多い13)が, 1850年, Stromeyer 21)がsinus pericraniiと呼称してからは, この呼び名が広く受け入れられており, 本邦報告例もすべてこれに従っている. 本邦においては, 1962年, Banら2)の4才女児例を最初に, 30例ほどの報告2, 9, 11, 12, 14, 15, 17, 18, 20, 23, 25)をみるが, 比較的まれな疾患であり, 病理学的には種々な側面を持つ. 臨...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 27; no. 8; pp. 762 - 768
Main Authors 澤村豊, 阿部弘, 杉本信志, 田代邦雄, 中村仁志夫, 後藤聡, 高村春雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1987
Online AccessGet full text
ISSN0470-8105

Cover

More Information
Summary:Sinus pericraniiは, 1760年, Pottにより記載13)されて以来, 欧米では数多くの報告をみる1, 3-8, 13, 18, 23). 英語圏では同義語が多い13)が, 1850年, Stromeyer 21)がsinus pericraniiと呼称してからは, この呼び名が広く受け入れられており, 本邦報告例もすべてこれに従っている. 本邦においては, 1962年, Banら2)の4才女児例を最初に, 30例ほどの報告2, 9, 11, 12, 14, 15, 17, 18, 20, 23, 25)をみるが, 比較的まれな疾患であり, 病理学的には種々な側面を持つ. 臨床的には局所の圧痛のほか, さしたる神経症状も呈さず, 単なる頭蓋骨上の腫瘤ということで気付かれることが多く, 一般的には増大傾向を示すが, 一方で自然軽快をみる症例9)もある. また, 美容上の理由から手術適応とされる11, 18, 20)こともある反面, 坐位手術にて術中に大出血をきたしたという報告12)もあり, その分類と治療法には混乱がみられる. 我々は, 自験6症例を加え, 病理学的側面からの分類を試み, 手術治療にも若干の検討を加えたので報告する.
ISSN:0470-8105