失語症を主徴とした脳血管障害 CTによる病巣検索

麻痺をほとんど認めない失語症18例の病巣部位検索を主にCTを用いて行った. 運動失語群は臨床的には非典型例で病巣も極めて限局性であった.感覚失語群は左上側頭回を中心に時に縁上回・角回に及ぶ比較的広範な病巣を示した.超皮質性運動失語群, 健忘失語群は病巣が限局性ないしはCT上明らかな異常を示さなかった.超皮質性感覚失語群は左中および後大脳動脈の境界域に低吸収域を認めた.全失語群は散在性病巣により個々の言語野が障害された例の他に, 連続性病巣を示す例, 病巣がシルビウス裂を越えて前方には及んでいない例があった.このような場合には他の症例も考え合わせ, 単に病巣の広がりのみでなく完全軟化か不完全軟化...

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Published in脳卒中 Vol. 5; no. 2; pp. 143 - 149
Main Authors 平井, 俊策, 岡本, 幸市, 森松, 光紀, 妹尾, 陽子, 小松, 美鳥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.06.1983
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.5.143

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Summary:麻痺をほとんど認めない失語症18例の病巣部位検索を主にCTを用いて行った. 運動失語群は臨床的には非典型例で病巣も極めて限局性であった.感覚失語群は左上側頭回を中心に時に縁上回・角回に及ぶ比較的広範な病巣を示した.超皮質性運動失語群, 健忘失語群は病巣が限局性ないしはCT上明らかな異常を示さなかった.超皮質性感覚失語群は左中および後大脳動脈の境界域に低吸収域を認めた.全失語群は散在性病巣により個々の言語野が障害された例の他に, 連続性病巣を示す例, 病巣がシルビウス裂を越えて前方には及んでいない例があった.このような場合には他の症例も考え合わせ, 単に病巣の広がりのみでなく完全軟化か不完全軟化かといった病変の強さ, CT上の病巣に比しより広範囲に及ぶ乏血なども考慮すべきである.さらに運動機能と高次脳機能である言語機能との間には乏血に対する閾値に差があるのではないかと思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.5.143