ホルモン補充療法(HRT)後に発症した粘液癌の1例
症例は56歳,女性,更年期障害に対してエストラジオール(E2)含有貼付剤によるホルモン補充療法(HRT)を約1年間受けていたが,右乳房の腫瘤を自覚し平成15年7月に当院を受診した.右乳房D領域に直径1.5cmの腫瘤を触知し,マンモグラフィでは石灰化を伴う等濃度,境界微細鋸歯状の腫瘍を,超音波検査でも直径17mm×12mmの低エコー腫瘍を認め,穿刺吸引細胞診で粘液癌と診断された.平成15年7月30日に乳房温存手術を施行,術後診断はT1cN0M0, Stage Iであった.一般的にHRT中に発症した乳癌の悪性度は低く,組織型では管状癌を含めた予後良好な浸潤癌の相対危険度が上昇し,粘液癌は2.4%認...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 587 - 591 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.03.2006
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.67.587 |
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Summary: | 症例は56歳,女性,更年期障害に対してエストラジオール(E2)含有貼付剤によるホルモン補充療法(HRT)を約1年間受けていたが,右乳房の腫瘤を自覚し平成15年7月に当院を受診した.右乳房D領域に直径1.5cmの腫瘤を触知し,マンモグラフィでは石灰化を伴う等濃度,境界微細鋸歯状の腫瘍を,超音波検査でも直径17mm×12mmの低エコー腫瘍を認め,穿刺吸引細胞診で粘液癌と診断された.平成15年7月30日に乳房温存手術を施行,術後診断はT1cN0M0, Stage Iであった.一般的にHRT中に発症した乳癌の悪性度は低く,組織型では管状癌を含めた予後良好な浸潤癌の相対危険度が上昇し,粘液癌は2.4%認められている.閉経後の平均寿命が30年近くもある日本人女性が健康な生活を維持するためには, HRTの必要性を認識するとともにHRT中の患者への自己検診の啓蒙および定期的な乳癌検診が必要と考えられる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.67.587 |