A型肝炎における低分子(7S)IgM型HA抗体の検出とその動態

A型肝炎ウイルス感染症における血清中IgM型HA抗体の分子性状を分析し,病期による抗体分子の出現動態について検討した.その結果,IgM型HA抗体の抗体活性は19S領域と7S領域のIgMに認められ,A型肝炎の感染初期には19S IgMの抗体活性が優位であり,肝炎の経過とともに7S IgMの抗体活性が優位となった.7Sと19SのIgM型HA抗体の比(LMW/HMW比)は肝炎発病61日以降に有意(p<0.05)な高値を示し,さらにLMW/HMW比と肝炎病日との間に有意(p<0.01)な正の相関を認めた.以上より,A型肝炎ウイルス感染症におけるIgM型ウイルス特異抗体産生は,経過中に高分子...

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Published in肝臓 Vol. 28; no. 7; pp. 863 - 868
Main Authors 赤保内, 義一, 谷内, 昭, 菅, 充生, 横田, 勝至, 佐藤, 喜夫, 小玉, 俊典, 平根, 敏光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.07.1987
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.863

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Summary:A型肝炎ウイルス感染症における血清中IgM型HA抗体の分子性状を分析し,病期による抗体分子の出現動態について検討した.その結果,IgM型HA抗体の抗体活性は19S領域と7S領域のIgMに認められ,A型肝炎の感染初期には19S IgMの抗体活性が優位であり,肝炎の経過とともに7S IgMの抗体活性が優位となった.7Sと19SのIgM型HA抗体の比(LMW/HMW比)は肝炎発病61日以降に有意(p<0.05)な高値を示し,さらにLMW/HMW比と肝炎病日との間に有意(p<0.01)な正の相関を認めた.以上より,A型肝炎ウイルス感染症におけるIgM型ウイルス特異抗体産生は,経過中に高分子型(19S)から低分子型(7S)へ変換すると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.863