脳梗塞急性期例におけるdopamine (DA) 投与前後の脳血流の変化 血中DA値からの検討
脳梗塞急性期 (発症1週以内) の患者18例を対象に, dopamine (DA) を5~10μg/kg/min.静脈内持続投与しその前後の脳血流量 (CBF) の変化をXe-133吸入法で測定すると同時に, 血中DA値も測定し両者の相関を検討した.対象疾患の内訳は内頚動脈狭窄症5例, 中大脳動脈閉塞症2例, 中大脈動脈狭窄症3例, 脳血管写上正常であったもの8例で, 心臓由来の脳塞栓例や一過性の脳虚血例は除外した.その結果, 1) DA5μg/kg/min.投与例では平均血中DA値は62.1±9.6ng/mlを示しCBFに影響がみられなかったのに対し, DA10μg/kg/min.投与群 (...
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Published in | 脳卒中 Vol. 8; no. 2; pp. 115 - 119 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
25.04.1986
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ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.8.115 |
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Summary: | 脳梗塞急性期 (発症1週以内) の患者18例を対象に, dopamine (DA) を5~10μg/kg/min.静脈内持続投与しその前後の脳血流量 (CBF) の変化をXe-133吸入法で測定すると同時に, 血中DA値も測定し両者の相関を検討した.対象疾患の内訳は内頚動脈狭窄症5例, 中大脳動脈閉塞症2例, 中大脈動脈狭窄症3例, 脳血管写上正常であったもの8例で, 心臓由来の脳塞栓例や一過性の脳虚血例は除外した.その結果, 1) DA5μg/kg/min.投与例では平均血中DA値は62.1±9.6ng/mlを示しCBFに影響がみられなかったのに対し, DA10μg/kg/min.投与群 (6例) では151.9±35.7ng/mlの平均血中DA値を示し, 健側・患側各々13%・11%と有意 (P<0.05) に脳血流が増加した.2) DA10μg/kg/min.投与群ではDA投与前後で有意に全身収縮期圧の上昇をみたが, うち2例では血圧の上昇なく脳血流が増加した.3) 全身血圧50mmHg以上上昇した2例で不整脈発生をみたが容易に消失した.4) 血中adrenaline・noradrenaline値はDA投与前後で有意の変動を示さなかった. 以上のことよりCBFの増加を得るには血中DA値を100ng/ml以上に維持することが必要で, このためにはDA10μg/kg/min.の投与が適切であると考えられた. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.8.115 |