外傷性横隔膜損傷例の検討

「はじめに」横隔膜損傷は胸腹部外傷の中で比較的稀な疾患であるが, 貫通性損傷を生じた場合, 胸腔内と腹腔内との圧較差により, 腹腔内臓器が胸腔内に脱出し5), 心臓, 肺を圧迫する為, 呼吸不全, 循環虚脱を引き起こし, 重篤な状態に陥る事がある. 今回我々は, 過去に経験した症例の診断及び経過に対して臨床的検討を加えたので報告する. 「1. 対象 方法」症例は, 1987年1月から2000年12月迄に当院で手術を行った14例で, 性別は男性10例, 女性4例で男性に多く, 年齢は22歳から92歳迄の平均49.3歳であった. 受傷機転, 診断, 損傷形態, 予後, 脱出臓器, 損傷部位について...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 51; no. 1; pp. 218 - 221
Main Authors 島弘志, 谷脇智, 香坂和泉, 爲廣一仁, 黒田久志, 吉田健治, 後藤琢也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2002
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」横隔膜損傷は胸腹部外傷の中で比較的稀な疾患であるが, 貫通性損傷を生じた場合, 胸腔内と腹腔内との圧較差により, 腹腔内臓器が胸腔内に脱出し5), 心臓, 肺を圧迫する為, 呼吸不全, 循環虚脱を引き起こし, 重篤な状態に陥る事がある. 今回我々は, 過去に経験した症例の診断及び経過に対して臨床的検討を加えたので報告する. 「1. 対象 方法」症例は, 1987年1月から2000年12月迄に当院で手術を行った14例で, 性別は男性10例, 女性4例で男性に多く, 年齢は22歳から92歳迄の平均49.3歳であった. 受傷機転, 診断, 損傷形態, 予後, 脱出臓器, 損傷部位について検討した. 「2. 結果」受傷機転は直接型(鋭的)損傷が4例, 間接型(鈍的)が10例であった(表1). 術前診断が可能であった症例は10例有り, 胸部単純写真のみで診断した症例は2例, 胸部単純写真に加え, CT検査で確定診断したものは6例であった. 他には刺創部からのガストログラフィン注入を行い, 腹腔内へ造影剤が漏出した事により診断した1例(図1)と, 20年前の右胸部打撲に起因すると思われる慢性期の症例を注腸造影検査で診断した1例(図2)があった.
ISSN:0037-1033