核医学治療の医療利用 (1) - これまでの展開と放射線技術の役割

「I はじめに」放射線治療は病巣組織に十分な放射線量を照射することでがん細胞を死滅させることができる. 古来の治療選択は外科治療のみであったが, 1896年に第2の柱として放射線治療が加わった. 国内では1990年代以降に, 画像誘導放射線治療による照射位置や定位照射・強度変調放射線治療や治療計画など放射線治療技術の高精度化によって現在はがん治療の主たる柱として確立されている. 放射線治療といえば主に体外照射を指し, 対象は限局性の病巣に限られる. そのため, 昨今は放射性核種を標識した医薬品 (放射性薬剤) を投与し, がん細胞内に送達・内照射によって全身性の放射線治療を行う「核医学治療」に...

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Published in保健物理 Vol. 57; no. 4; pp. 172 - 180
Main Authors 宮司典明, 前田貴雅, 右近直之, 米山寛人, 山下康輔, 花岡宏平, 飯森隆志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本保健物理学会 01.12.2022
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ISSN0367-6110

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Summary:「I はじめに」放射線治療は病巣組織に十分な放射線量を照射することでがん細胞を死滅させることができる. 古来の治療選択は外科治療のみであったが, 1896年に第2の柱として放射線治療が加わった. 国内では1990年代以降に, 画像誘導放射線治療による照射位置や定位照射・強度変調放射線治療や治療計画など放射線治療技術の高精度化によって現在はがん治療の主たる柱として確立されている. 放射線治療といえば主に体外照射を指し, 対象は限局性の病巣に限られる. そのため, 昨今は放射性核種を標識した医薬品 (放射性薬剤) を投与し, がん細胞内に送達・内照射によって全身性の放射線治療を行う「核医学治療」に大きな期待が寄せられている. ASTRO Meeting 2019では, 2035年には放射線治療全体の約60%で放射性薬剤が使用されると予測しており, 本治療の高い期待と有用性が窺える.
ISSN:0367-6110