感潮河川における陰イオン界面活性剤の懸濁物質への吸着特性に関する研究

潮汐の影響を受ける河川感潮部における陰イオン界面活性剤の懸濁物質 (SS) への吸着について検討した。とくに感潮部特有の流速の変化や, 海水の混合による影響を検討することを試みた。 室内実験によりLASの吸着について次のような結果を得た。 1) 流速が吸着に及ぼす影響は小さかった。またpHの影響についても明確な傾向を見いだすことはできなかった。 2) イオン濃度の増加 (電気伝導度で0.0022から42.5ms・cm-1) に伴ってLASの吸着容量は増加した。従来の淡水域における電気伝導度の変動範囲ではこのような傾向は認められておらず, この結果は注目に値する。 以上のような結果をもとに現地観...

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Published in水質汚濁研究 Vol. 14; no. 11; pp. 797 - 805,795
Main Authors 上月, 康則, 村上, 仁士, 細井, 由彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本水環境学会 10.11.1991
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ISSN0387-2025
DOI10.2965/jswe1978.14.797

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Summary:潮汐の影響を受ける河川感潮部における陰イオン界面活性剤の懸濁物質 (SS) への吸着について検討した。とくに感潮部特有の流速の変化や, 海水の混合による影響を検討することを試みた。 室内実験によりLASの吸着について次のような結果を得た。 1) 流速が吸着に及ぼす影響は小さかった。またpHの影響についても明確な傾向を見いだすことはできなかった。 2) イオン濃度の増加 (電気伝導度で0.0022から42.5ms・cm-1) に伴ってLASの吸着容量は増加した。従来の淡水域における電気伝導度の変動範囲ではこのような傾向は認められておらず, この結果は注目に値する。 以上のような結果をもとに現地観測を行いMBASの吸着について次のような結果を得た。 3) MBASのSSへの吸着はSSのCODが増加すると増加した。またSS濃度が増加すると減少した。これらの傾向は, 従来の報告とも一致するものであった。 4) イオン濃度が増加すると吸着量も増加し, 室内実験で認められた傾向が現在においても確認された。 5) 上記の特性はFreundlich等温吸着式により整理することができ, n=1としてkを上記の要因を用いて表示した。 このように海水が混合する河川感潮部においては, 陰イオン界面活性剤の懸濁物質への吸着において, 従来余り重要とは考えられていなかったイオン濃度の影響を無視することができないことを指摘した。
ISSN:0387-2025
DOI:10.2965/jswe1978.14.797